きのこ フリーラジカル消去成分 は高分子のたんぱく質

きのこ フリーラジカル消去成分 は高分子のたんぱく質です。次に、スーパーオキシドの消去作用に最もすぐれていたマッシュルームの抽出液を煮沸して消去作用に影響があるかどうかが調べられました。

結果は、煮沸しない抽出液の50% 消去量(フリーラジカルを50%消去するのに必要な抽出液の量)は0・6 mgでしたが、これを100度で5分間煮沸しただけで、50%消去量は2.5 mgにふえ、スーパーオキシド消去作用が76%も減弱することがわかりました。

同様に、エノキタケの抽出液を煮沸してヒドロキシルラジカルを消去する実験を行ったところ、煮沸しない抽出液の50%消去量が0.75 mgであったのに対して、100度5分間の煮沸後は10 mg以上となり、加熱によってヒドロキシルラジカル消去作用が著しく弱まることが明らかになったのです。

きのこのフリーラジカル消去作用が加熱によって低下するということは、その活性成分の少なくとも一部が加熱によって変性しやすい成分、たとえばタンパク質であることを想像させます。

主な活性成分が高分子物質であることを明らかにした透析実験の結果と考えあわせれば、「高分子のタンパク質」をきのこのフリーラジカル消去成分の一候補として指摘しておくことができるでしょう。

きのこ

きのこ ガン予防効果 高分子物質も低分子物質もヒドロキシルラジカルの消去に働く

きのこ ガン予防効果 高分子物質も低分子物質もヒドロキシルラジカルの消去に働きます。この実験ではさらに、きのこの抗酸化物質が何であるかをしぼりこむため、抽出液を透析したものや煮沸したもので実験が続けられました。

透析というのは、小学校の理科の実験で、その原理を習ったのを覚えているかたもおられるかもしれません。たとえば食塩とデンプンを溶かした水をセロハンの袋に入れ、普通の水に浸けると、食塩は袋の外に溶け出しますが、デンプンは溶け出しません。

こうして食塩のような低分子物質と、デンプンのような高分子物質を膜で分けることを、透析というのです。エノキタケの抽出液を透析してスーパーオキシド消去作用を調べると、透析液(低分子)の消去率はわずか2.5% だったのに対して、透析したあとの液(高分子)は29.9%と透析液の10倍以上にのぼりました。

同様に、マッシュルームを透析したあとの内液(高分子)は、透析前と変わらないスーパーオキシド消去作用を示し、これらの実験から、スーパーオキシド消去に働く活性成分は高分子物質であることが想像されました。

他方、エノキタケの抽出液を透析して、今度はヒドロキシルラジカル消去作用を調べると、透析したあとの内液(高分子) の消去率が46.6% だったのに対して、透析液(低分子)のほうも11.66% の消去率を示したのです。

このことから、きのこの成分のなかでスーパーオキシドの消去に働く成分とヒドロキシルラジカルの消去に働く成分は必ずしも同じでなく、ヒドロキシルラジカルの消去には高分子物質ばかりでなく、何らかの低分子物質も作用を担っていることが明らかになりました。

きのこ

ビタミンCをはるかにしのぐ エノキタケとヒラタケの成分

ビタミンCをはるかにしのぐ エノキタケとヒラタケの成分に付いて紹介します。各きのこのヒドロキシルラジカル消去作用を示したものがあります。ヒドロキシルラジカルに対しても、各きのことも抽出液の量をふやすのに伴ってより高い消去率を示していますが、50%消去量で比較すると、シイタケ、マッシュルーム、ナメコなどはレモン汁よりも多くの量が必要とされ、つまりレモン汁よりヒドロキシルラジカル消去作用が低いことがわかりました。

スーパーオキシドに対してはレモン汁の10倍の消去作用を発揮したマッシュルームが、不思議なもので、ヒドロキシルラジカルに村しては逆にレモン汁の10倍ほどの消去作用しか発揮していません。

また、ナメコはスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルいずれに村してもレモン汁よりも消去作用が劣っていましたが、これは抽出液のつくり方がナメコの活性成分を十分に引き出すのに適さなかったためかもしれません。ところで、この実験でも、エノキタケとヒラタケは、レモン汁をはるかにしのぐ消去作用を示していたのです。

2つの実験と考えあわせると、エノキタケとヒラタケはスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルをともに消去するすぐれた抗酸化食品といえそうです。消去作用の強さからみて、これらのきのこはビタミンCをはるかにしのぐ何か強力な抗酸化物質を含んでいることが想像されるのです。

きのこ