飲むならおいしい緑茶を出かける前に飲むと心地よい緊張感が得られる

私がお茶に対して強い関心を持つようになったのは、静岡にいるときからです。1976年に静岡版で、『茶』というタイトルの連載記事を担当しました。
100回シリーズでしたから、何ヶ月にもわたつて県内外を歩き回り、生産者から流通に携わる人、研究者や煎茶道の先生まで、お茶に関わるさまざまな人たちの話を山開きました。
そんな中で、私にとってのお茶の導師ともいえる方たちとの出会いがあり、本来のお茶のあるべき姿を知ることができたんです。
緑茶に限りませんが、本当にいいお茶というのは、香りが素晴らしくいい。こう言うとごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、現在、一般に出回っている緑茶は、香りよりも味、特にうま味を重視したものが多いんじゃないでしょうか。
高級茶として有り難がられている玉露などはその典型。
玉露は、うま味成分であるアミノ酸を増やすために、わざわざ覆いをかぶせるわけですから。
「茶腹も一時」という言葉がありますが、今の日本のお茶の多くは、ドスンと腹にウェットな味が下る感じ。
これは邪道です。本来のお茶は、舌の奥から鼻の上に向けていい香りが突き抜けていく感じのものだと。これは私の説というより、導師からの教えなんですが( 笑)。でも、実際に飲み比べれば実感としてわかります。私が出会った中でも星口同のものは、緑茶でも花の香り、それも蘭のような香りがフワァーッとしました。これは素晴らしいと思いましたね。
うま味を珍重する考え方、それに生産性を上げるために農薬や化学肥料を使う栽培、そして『やぶきた』という品種一辺倒になってしまったこと。これが、今の日本のお茶を駄目にしている原因です。
私自身は、それでもやはり、お茶が好きです。健康のためと意識することはありませんが、家でも外でも飲むならコーヒーではなくお茶。自宅には、紅茶も中国茶もハーブティも、もちろん緑茶も、それぞれ何種類も常備していて、気分に合わせて選ぶのが楽しみです。
緑茶は、これまでに培ってきたお茶人脈というかお茶ネットワークというか、師や同志を通じて手に入れています。
当然、無農薬・有機栽培の香り高いお茶ばかりです。ふだんには、熱い湯で入れても香りの出る深蒸し茶。
そしてとっておきは、師のおひとりが直に指導なさって作られた、熊本産の釜妙り茶です。
緑茶を飲む機会が多いのは、夜よりも朝。出掛けに気分をビリッとさせるのに、ちょうどいいですよね。
お茶の成分が体にいいという研究が、ずいぶんなされているようですが、私はそれについては詳しくありません。ただ、健康志向からでもお茶に関心をもつ人が増えて、おいしいお茶を求める声が高くなることは大歓迎です。ミネラル分をたっぷり含んだ土壌で、農薬を使わず、有機栽培した銘茶が、日本の各地それぞれに生まれるのが理想だと思います。いいお茶をおいしく飲む。それは確かに体にいいことに違いないですからね。

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