にんにくで糖尿病を改善する

糖尿病は膵臓(すいぞう)の機能の不調であって、摂取された糖質の量に対してインスリンが不足することにより、血中の糖度が上昇して高血糖を引き起こす病気です。インスリンとは、私たちの体の中でつくられるホルモンであり、血液中のブドウ糖(血糖)を少なくする働きをしています。膵臓には、「ランゲルハンス島のβ(ベータ)細胞」という名前の細胞がいくつかあり、この細胞でインスリンがつくられています。

現代では、糖尿病にかかる人が増え、それが子供にまで広がっています。

糖尿病が悪化すると、栄養を摂ってもそれが吸収されずに体が衰弱していきます。さらに重症化すると、高血圧や動脈硬化、腎症、網膜症、神経障害など、さまざまな合併症を引き起こすようになり、治療が困難な状態になってしまいます。

糖尿病の原因となっているのは、主に食べ過ぎです。それに運動不足がプラスされ、これらが引き金となって発病します。そして、患者のほとんどが肥満症でもあります。ですから、治療には食事療法が用いられ、栄養バランスを考えたメニューと必要なカロリーを摂取して、併せて毎日欠かさず適度な運動も行うようにします。

糖尿病に対するにんにく効果

さまざまな合併症を伴う恐れのある糖尿病ですから、その食事療法にぜひ取り入れたいのが、万能薬といってもよいにんにくです。にんにくに含まれる有効成分のアリシンが、糖尿病の改善に、次のように働きます。

  • アリシンは、体内のビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、ビタミンB1以上の力を発揮して糖質の代謝を促します。
  • アリシンがビタミンB6と結合し、膵臓が活性化してインスリンの分泌を促進させ、血糖値を正常にします。

このように、アリシンは他の物質との結合能力に優れているのでこれを活用すると良いです。また、ビタミンCが糖の消費を促すので、にんにくとビタミンCを併用すると、血糖値を正常化するのにより効果的となります。

にんにくでガンを予防する

日本における死因の第一位はガンで、ガンによる死亡率の増加は、深刻な社問題になりました。死亡者は特に働き盛りの中高年に多く、年齢が若いがゆえに病気の進行が速いという特徴があります。主な原因としては、遺伝子を傷つける発ガン性物質やウイルス、放射線などが挙げられます。

ガン対策としては、早期の発見と治療が大切です。面倒だと思う人もいるでしょうが、40歳を過ぎたら、きちんと定期検診を受けたいものです。

ガンの予防には、禁煙や菜食といわれるようにガンと食事の関係が研究されて、食生活を改善することが重要だと注目されています。特に、抗酸化作用のあるベータカロテン、セレニウム(セレン)が不足するとガンの発生率が高いことがわかっているので、こういった栄養素を摂取することもガンの予防につながると考えられています。

疫学の研究からは、胃ガン、肺ガン、大腸ガンなどの予防に緑黄色野菜が大きく作用していることも示されていて、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEといった栄養素の抗酸化作用が特に評価されています。

ガンの予防に効果的な成分として、大豆に多く含まれているフラボノイドをはじめ、お茶に含まれるカテキン、にんじんなどベータカロテンのテルペン類、ごまのセサミノール、そして、にんにくやたまねぎに多い硫化化合物などがあります。

にんにくの制ガン作用

ガンに対してのにんにくの効果について、世界の研究者たちによって見解が発表されています。にんにくの有効成分は、ガンの予防に次のように働きます。

  • ゲルマニウムによる制ガン作用
    にんにくに含まれている有効成分のゲルマニウムには、それ自体に制ガン作用があり、含有量の多さではサルノコシカケに続きます。
    ゲルマニウムは私たちの臓器に酵素を供給し、それと反応して細胞を活性化させ、疲労を回復してくれる物質です。自然治癒力を高める効果もあり、ガン予防の改善につながります。
  • 硫黄化合物の力
    にんにくをすりおろした時などに発生する強いにおいの元となっている硫黄化合物には、ガンの発生や増殖を予防する作用があります。また、発ガン物質を体外に排出し、解毒作用を促進します。
  • 前ガン病変を抑制
    硫黄化合物の中でも注目されるのがSMC(S-メチルシステイン)という物質。ある大学の研究グループの動物実験では、SMCの投与により肝臓ガンや大腸ガンの前ガン病変(ガンになる確率の高い、組織の異形成)を抑制できることがわかっています。

にんにくの有効成分アリシンについてはこちら

にんにくの有効成分アリシン

においのもとはアリシン

にんにくは他の野菜と比べて、特有のにおいを放っているという特徴があります。このにおいのもとになっている成分はアリシンであることが発見されたのですが、強烈なにおいにもかかわらず、含有比率としては、わずか0.1パーセントだといいます。

損傷を受けていないにんにくの組織には無味無臭の硫黄化合物があり、にんにくの組織に傷をつけることで、ある物質が刺激が強くて新しい化合物を生成します。この物質が「アリシン」です。アリシンは分解されやすく、空気に触れると強烈なにおいの硫黄化合物に変化するのですが、この硫黄化合物がにんにくのにおいの成分となっています。

においのもとであるアリシンは、にんにくに含まれる無味無臭で含硫濃度が高いアミノ酸「アリイン」と、「アリナーゼ」という酵素が反応することで生成されます。このアリインとアリナーゼは、もともと同じ細胞の中に存在しているのですが、細胞に傷がつくことで両方が反応しあって、アリシンが発生するのです。

損傷を受ける、つまり、調理で切ったりつぶしたりすりおろしたりされて空気に触れることで生成されるアリシンですが、時間が経過するとともに効力は弱まります。また、加熱すると、熱に弱いアリナーゼが勢いを失い、アリシンが生成されないのでにおいが弱くなりますが、抗菌力まで弱くなってしまいます。ただし、にんにくを切ったりせずそのまま揚げたり、煮たりというふうに熱を加えると、アリシンの効能は、そのまま閉じ込めることができるのです。

このように、アリシンは、強い薬効がありながらも、不安定な性質を持っています。

アリシンの効果

アリシンには、他の物質と結びつき新たな効力を発揮する結合能力があって、しかもその能力がとても高いという特徴があります。アリシンが他の物質と結びついたときの複合効果をいくつか紹介します。

  1. アリシンとタンパク質→消化吸収を促進
    アリシンとタンパク質が結合すると、消化吸収が促進されます。消化に時間がかかる肉とにんにくを一緒に食べると、消化吸収力が高まります。
  2. アリシンと脂質→血液の浄化、老化防止
    アリシンと脂質が結合すると、ビタミンEと似た働きの脂質アリシンが生成されます。抗酸化作用によって、血液がきれいになり血行が良くなります。また、抗血栓作用によって動脈硬化などを予防します。
  3. アリシンとビタミンB6→糖尿病を予防
    アリシンと体内のビタミンB6とが結合すると膵臓の細胞の働きが活発になり、インシュリンの分泌を促進します。これにより糖尿病の予防や治療に効果的です。
  4. アリシンとビタミンB1→細胞の活性化、代謝の促進
    アリシンとビタミンB1の結合ではアリチアミンが生成され、ビタミンB1と同様の働き、またはそれ以上の働きで効果を発揮します。中枢神経、末梢神経、腸に作用し、不眠症、冷え性、便秘症などに有効です。

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