にんにくの有効成分アリシン

においのもとはアリシン

にんにくは他の野菜と比べて、特有のにおいを放っているという特徴があります。このにおいのもとになっている成分はアリシンであることが発見されたのですが、強烈なにおいにもかかわらず、含有比率としては、わずか0.1パーセントだといいます。

損傷を受けていないにんにくの組織には無味無臭の硫黄化合物があり、にんにくの組織に傷をつけることで、ある物質が刺激が強くて新しい化合物を生成します。この物質が「アリシン」です。アリシンは分解されやすく、空気に触れると強烈なにおいの硫黄化合物に変化するのですが、この硫黄化合物がにんにくのにおいの成分となっています。

においのもとであるアリシンは、にんにくに含まれる無味無臭で含硫濃度が高いアミノ酸「アリイン」と、「アリナーゼ」という酵素が反応することで生成されます。このアリインとアリナーゼは、もともと同じ細胞の中に存在しているのですが、細胞に傷がつくことで両方が反応しあって、アリシンが発生するのです。

損傷を受ける、つまり、調理で切ったりつぶしたりすりおろしたりされて空気に触れることで生成されるアリシンですが、時間が経過するとともに効力は弱まります。また、加熱すると、熱に弱いアリナーゼが勢いを失い、アリシンが生成されないのでにおいが弱くなりますが、抗菌力まで弱くなってしまいます。ただし、にんにくを切ったりせずそのまま揚げたり、煮たりというふうに熱を加えると、アリシンの効能は、そのまま閉じ込めることができるのです。

このように、アリシンは、強い薬効がありながらも、不安定な性質を持っています。

アリシンの効果

アリシンには、他の物質と結びつき新たな効力を発揮する結合能力があって、しかもその能力がとても高いという特徴があります。アリシンが他の物質と結びついたときの複合効果をいくつか紹介します。

  1. アリシンとタンパク質→消化吸収を促進
    アリシンとタンパク質が結合すると、消化吸収が促進されます。消化に時間がかかる肉とにんにくを一緒に食べると、消化吸収力が高まります。
  2. アリシンと脂質→血液の浄化、老化防止
    アリシンと脂質が結合すると、ビタミンEと似た働きの脂質アリシンが生成されます。抗酸化作用によって、血液がきれいになり血行が良くなります。また、抗血栓作用によって動脈硬化などを予防します。
  3. アリシンとビタミンB6→糖尿病を予防
    アリシンと体内のビタミンB6とが結合すると膵臓の細胞の働きが活発になり、インシュリンの分泌を促進します。これにより糖尿病の予防や治療に効果的です。
  4. アリシンとビタミンB1→細胞の活性化、代謝の促進
    アリシンとビタミンB1の結合ではアリチアミンが生成され、ビタミンB1と同様の働き、またはそれ以上の働きで効果を発揮します。中枢神経、末梢神経、腸に作用し、不眠症、冷え性、便秘症などに有効です。

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