さんは、私の本を読んで、出版社宛てにお手紙をくださった。達筆な字で善かれたその手紙によると、更年期のまっただ中にあった50代前半頃から、それまでは無縁だった体の不調に次々と襲われ、ずいぶんご苦労をされたらしい。
う特に胃腸がめっきり弱くなり、胃炎や胃潰瘍、神経性腸炎などを繰り返していたという。病院でもらった薬を飲むと一時的にはよくなるが、少し経つとまた、調子が悪くなる。に留まま一生、胃腸薬を飲み続けなくてはならないのかと、あきらめかけていた頃、私の本を読んで、生姜が胃腸に効くことを知ったという。
「先生の本に、胃が弱い人のみぞおちを触ってみると冷たい、と書いてありましたが、確かに、自分の胃のあたりを触ると、まるで氷が入っているかのようにひんやりと冷たいのです。それまでは「胃腸の不調=冷え」という発想はありませんでしたから、まるで目からウロコでした。それからは寝るときは必ず腹巻きをして、日中も使い捨てカイロなどでお腹を温めるようにしました。と、書いてある。
さらに、生萎紅茶や生姜湯を毎日飲み、梅番茶もよく作って飲んだという。生姜には、胃腸の内壁の血行をよくして、消化吸収を高める作用があることが知られているので、これらを積極的に飲むことで、ずいぶん胃腸にいい効果をもたらしたことだと思う。手紙の続きを紹介しよう。
「生姜はまた、失っていた食欲も呼び覚ましてくれました。ビリッと辛い生妾を料理などに入れると、何でもおいしく感じるようになったのです。
生妻を積極的に食べ、胃腸を温めるようにして、1ヶ月くらい経った頃でしょうか。気がつくと、10年近く悩まされてきた、胃の不快感や空腹時の痛み、食欲不振などの症状がなくなっていました。きっと効果があるはず、と信じてはいましたが、そのあまりの早さには驚きました。
生姜や腹巻きなどで胃腸の病気が治るなら、こんなに安上がりで安全なことはない。軽い腹筋運動や入浴などもとり入れて、さらにお腹の血行をよくしてほしい。
年: 2014年
(体験談)腰痛が生姜湿布でよくなった
55歳のAさんは、年齢よりもかなり若く見える。高原レタス栽培を生業としているので、春夏の間は寝る暇もないほど忙しいが、秋から冬にかけては、比較的のんびりできるらしい。
毎年10月になると、私がやっている伊豆の断食を主とした保養所に、ご夫婦で来るのが、ここ7 ~8年の恒例行事になっていた。断食中でも、いつも元気にゴルフに出かけるA さんだが、前回来たときは、ゴルフセットを持参していなかった。
「おいしい空気を吸ってゴルフをするのは、断食よりも健康にいい」などといっていたAさんがゴルフをしないのは珍しいと思って開いてみると、2か月ほど前、農作業をしていて腰が痛くなり、以来ずっと、腰に違和感があるという。「自分では若いつもりでいても、やっぱりもう若くはないということですよ」などとつぶやく姿は、以前のエネルギッシュなAさんからは考えられない。
これまで病気らしい病気もせず、健康に絶対的な自信があった人ほど、突然襲われる体の不調にはショックを受けるようだ。普通に歩くのには支障がないようだが、疲れると腰に鈍い痛みが出るという。「重たい荷物を持ったり、同じ姿勢を長時間続けていると、腰に電流が走るように痛むこともある」と、顔をしかめている。
奥さんに聞いてみると、A さんが初めて腰が痛くなった日は、前日がとても暑くて、ビールをガブ飲みしたあと、クーラーをガンガンにかけたまま、下着1枚で朝まで寝ていたそう。さらに、その1か月ほどは、「暑いから、湯船につかりたくない」といって、お風呂に入る代わりに朝晩、水シャワーを浴びていたという。腰痛の多くは、下半身の筋肉の衰えに加え、冷えが原因で起こる。私はA さんに、「ここにいる間は毎日、生妻湿布に通うように」と、アドバイスした。私の保養所には、マッサージや生姜湿布を受けられる施設を併設しているのだ。生姜湿布を腰にあてると、血行をよくして腰を温める作用があるのと同時に、鎮痛作用もある。
私のアドバイスを聞き入れたAさんは、7泊8日の断食期間中、毎日必ず、生姜湿布に通った。初日には「腰どころか、体中が温まって、まるでサウナに入っているかのように大王の汗をかきました。
まだ、全身がポカポカしています」と驚いていたが、7日目には「腰の痛みや違和感がきれいになくなりました。これまで、鍼に通ったり、整体をしてみたり、いろんなことをしてもよくならなかったのに、生姜湿布で治るなんて、信じられませんよ」と、大喜びしていた。
すっかり元気になつたAさんは、「来年はゴルフバッグを持って、また必ず来ます」と言って帰って行ったが、そのためにも、体を冷やさず、生姜湿布を自宅でも続けてほしい。体を温める生妻紅茶も飲み続けるようアドバイスした。また、年齢とともに衰えてきた下半身を強くするには、日頃からウォーキングやスクワットなどで鍛えるほか、ゴボウやニンジン、レンコン、ヤマイモなどの根野菜を積極的に食べることもおすすめしたい。ちなみに、腰痛によく使われる漢方薬の「八味丸」にも、ヤマイモが入っている。
(体験談)夏の間の冷房病を改善できた
毎年、夏が来るのが恐怖だったというMさん。長年、関東にお住まいだが、もともとは北国生まれの北国育ち。若い頃からクーラーが苦手だったが、40代に入った噴から、冷房の効いた部屋に長時間いると、決まってひどい頭痛や肩こりに襲われるようになった。
両肩が、まるで金属の板を入れたようにガチガチに硬くなり、首を左右に振るのもっらい。そうこうしているうちに頭の芯が、キリキリと千枚通しで穴を開けられているかのように痛み出し、いてもたってもいられなくなる。ひどいときは、吐き気にも苦しめられ、トイレから出てこられなくなるという。「そうなるともう、頭痛薬を飲んでも効かないんです。
じっと横になって、嵐のような発作が過ぎるのを待つしかありません。冷房を避けようとしても、仕事をしている以上、職場のエアコンのスイッチを勝手に切るわけにもいかない。家に帰ったら帰ったで、人一倍暑がりのご主人が、リモコンでエアコンの設定温度を低くする。夜中に夫婦の寝室をそっと抜け出し、リビングのソファやフローリングに横たわって、まんじりともせずに朝を迎えることもしばしばだった。
また、体力がなくなるのか、夏風邪にも悩まされた。一度ひくとなかなか治らない。熱は下がっても、鼻水や咳がずっと抜けないのだ。やっと治ったと思ったらまたひき、夏の閉じゅう、ほとんど風邪をひいている年もあった。
「万病の原因は冷えにあり、生姜が体を温める」という主張に、「これこそ、私が求めていたものだ! 」とひらめくものがあり、病院の帰りに本屋さんに寄って、同じ本を買って帰ったという。本を読んで、自分の体が人一倍冷えていると感じたMさんは、生姜紅茶や生姜湯に、くずさらに体を温める葛粉をプラス。毎日、飲むのを日課にした。そのほかにも、朝のみそ汁や、手づくりの料理など、おろし生妻や刻み生妻をどっさり入れて食べた。生姜しょうゆや生姜だれ、生姜ドレッシングなども作ったという。
また、風邪のひきはじめにも、葛粉入り生姜湯やネギ入り生妻湯、生妻酒のお湯割りなどを早めに飲み、温かくしてすぐに布団に入るようにした。こうして生萎を活用し、徹底した温め作戦を半年間実行した結果、昨年の夏は頭痛の発作が1回しか起こらなかったという。それも重いものではなく、熱い葛入り生姜湯を飲んで横になると、すぐにおさまった。夏風邪もひかなかったというから、驚くほどの効果だ。毎年、夏パテがひどくて食欲も落ち、秋口には体重が2~3kg減っていたが、それもなく、自分でも驚くほど元気に過ごせたという。今年の夏も、ぜひとも生妻パワーで乗り切ってほしい。