ガン、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に作用する緑茶

ガンを予防する

がん発生のメカニズムについては、未だに十分には解明されていません。一般に突然変異を引き起こす物質(イニシエーター)によって細胞の遺伝子が傷つけられ、がんになりやすい状態になり(イニシエーション)、さらに発がん物質(プロモーター) によって細胞ががん化する(プロモーター) と考えられています。

がん化した細胞は増殖して腫瘍をつくり、がんと診断されるわけです。がん予防に効果が高いβカロチン(体内で必要に応じてビタミンA にかわる)はプロモーションに対して、ビタミンC 、E はイニシエーションに対して効果があることが確認されていますが、茶葉はこれらのビタミンを含んでいるうえに、胃にイニシエーション、プロモーション両方を抑制する働きをもつカテキンも含んでいます。
このうち、カテキン、ビタミンC は水溶性なので抽出液に溶けだしますが、βカロチン、ビタミンE は茶葉のなかに残り、多くの場合、茶殻として捨てられてしまいます。茶葉には、また豊富な食物繊維も含まれており、便秘にいいだけなく腸内でできる有害物質を吸収して体外に排泄する効果もあります。お茶として飲むほか、ふりかけや卵焼きの具にするなどして茶菓を食べる工夫をすることもがん予防につながります。

消化器系のガンを抑制するお茶の渋み成分などにも紹介されています。

血圧上昇を抑えて心筋梗塞、脳梗塞を予防

心臓は収縮して血液を送りだしますが、このとき、血液の圧力で血管が押し広げられます。この圧力が血圧で、常に最大血圧が145mmHG以上、また最小血圧が85mmHG以上という状態が続くことが高血圧症です。
脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす高血圧症の9割は本態性高血圧症と呼ばれ、はっきりした原因は認められていませんが、血管を収縮する作用をもつアンジオテシンⅡ が要因となっているというのが現在での定説です。血液中に含まれるアンジオテシノーゲンは、腎臓から遊離される酵素レニンと作用してアンジオテシンⅠに変換し、さらにアンジオテシンⅠ の変換酵素(ACE) によってアンジオテシンⅡ に変換します。現在の血圧降下剤はこのACE の働きを阻害する物質が使われますが、カテキンにも同様の働きが認められています。

血糖値の上昇を抑制して糖尿病を予防

デンプンや糖質を分解してつくられるブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンによって血液中から組織に取り込まれ、生命活動に必要なエネルギーとして利用されます。インスリン不足で血液中の糖濃度が上昇するのが糖尿病です。
カテキンには糖分を分解する酵素であるα・アミラーゼとシェークラーゼの活動を阻害し、この結果、食事として摂取した糖質の消化の一部が妨げられ、ブドウ糖の生成も抑えられ、血糖値の上昇が抑えられるのです。

緑茶を実際に飲んで 1日に20杯飲む

価格よりも品質

私は、埼玉県は狭山市の出身。狭山茶の本場です。父親は浪曲師でしたが、母親がお茶屋をやっていまして、私も小さい頃から門前の小僧で、お茶の摘み方から火入れの仕方まで教わったもんです。
お茶とは、そりゃ馴染みが深いんですよ。私自身も家内とここ杉並で、戟前からお茶屋をやってます。
以前、高座でお茶を出してくれる若い衆が「師匠はお茶屋さんだから、楽屋のまずいお茶を飲ますわけにはいかない。失礼にあたる」と思い込んで、半年間、水ばっかり飲まされていたことがあるんですよ(笑)
半年経って、ようやくお茶をいただけるようになりましたが…。
お茶屋だからって、毎日高価なお茶を飲んでるわけじゃありませんよ。もっぱら「茎茶」専門です。手頃な値段の割には煎茶と同じ程度の昧が楽しめるので、気に入っています。
お茶は1 日に20杯は飲んでますかね。300gのお茶缶が1週間もたないくらいですから、相当でしょう。
出がらしのことを「バカ茶」といいますが、これは絶対にいただきません。
茶葉だけは、マメに入れ替えて飲むようにしています。お茶をおいしくいただくには、茶葉をたっぷりと入れるのがコツ。最後のひとつまみが、お茶をおいしくしてくれる。「味があがる」っていうんですかね。私は熟めの濃いお茶が好きなんですが、一番おいしく感じるのは、寝起きに梅干しをつまみながら飲むお茶。これはもう、やめられませんね。

栄養満点の緑茶を飲む習慣は昔の人の知恵

緑茶の加減かどうかはわかりませんが、おかげさまで身体はいたって健康です。
最近、仲間うちでは糖尿病の人が多いようなんですよ。お酒が好きだったり、肉ばっかり食べたりとそれぞれですが、そういう人は一般的にお茶をあまり飲まないように思いますね。甘みのあるものばっかり飲んじゃう。
お茶さえあれば十分なんでお酒は飲みませんが(笑)、これ程健康でいられるのも、お茶をたっぷり飲んでいるおかげじゃないでしょうか。
もともとお茶は、薬として珍重されていたものですし、「茶腹も一時」ってことわざがあるように、お腹がすいても茶を飲んでおけばしのげる。それだけ栄養もあるってことでしょう。昔の人の知恵ですね。
家の庭にある牡丹の木には、いつも出がらしの茶葉を肥料として撒いています。
これがまた、栄養たっぷりなんでしょう、毎年、見事な花を咲かせてくれます。
人間にいいものは、土にも花にもいいってことですかね。毎年、新茶の時期になると、お茶の産地を訪れて、生一本のお茶をいただいています。お茶の味は産地によって全く違うんですよ。
生一本のお茶を飲むと、その違いがよくわかります。日本人の生活に馴染み過ぎて、最近は影が薄いお茶ですが、その良さを改めて認められる時がきっとくると思います。

飲むならおいしい緑茶を出かける前に飲むと心地よい緊張感が得られる

私がお茶に対して強い関心を持つようになったのは、静岡にいるときからです。1976年に静岡版で、『茶』というタイトルの連載記事を担当しました。
100回シリーズでしたから、何ヶ月にもわたつて県内外を歩き回り、生産者から流通に携わる人、研究者や煎茶道の先生まで、お茶に関わるさまざまな人たちの話を山開きました。
そんな中で、私にとってのお茶の導師ともいえる方たちとの出会いがあり、本来のお茶のあるべき姿を知ることができたんです。
緑茶に限りませんが、本当にいいお茶というのは、香りが素晴らしくいい。こう言うとごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、現在、一般に出回っている緑茶は、香りよりも味、特にうま味を重視したものが多いんじゃないでしょうか。
高級茶として有り難がられている玉露などはその典型。
玉露は、うま味成分であるアミノ酸を増やすために、わざわざ覆いをかぶせるわけですから。
「茶腹も一時」という言葉がありますが、今の日本のお茶の多くは、ドスンと腹にウェットな味が下る感じ。
これは邪道です。本来のお茶は、舌の奥から鼻の上に向けていい香りが突き抜けていく感じのものだと。これは私の説というより、導師からの教えなんですが( 笑)。でも、実際に飲み比べれば実感としてわかります。私が出会った中でも星口同のものは、緑茶でも花の香り、それも蘭のような香りがフワァーッとしました。これは素晴らしいと思いましたね。
うま味を珍重する考え方、それに生産性を上げるために農薬や化学肥料を使う栽培、そして『やぶきた』という品種一辺倒になってしまったこと。これが、今の日本のお茶を駄目にしている原因です。
私自身は、それでもやはり、お茶が好きです。健康のためと意識することはありませんが、家でも外でも飲むならコーヒーではなくお茶。自宅には、紅茶も中国茶もハーブティも、もちろん緑茶も、それぞれ何種類も常備していて、気分に合わせて選ぶのが楽しみです。
緑茶は、これまでに培ってきたお茶人脈というかお茶ネットワークというか、師や同志を通じて手に入れています。
当然、無農薬・有機栽培の香り高いお茶ばかりです。ふだんには、熱い湯で入れても香りの出る深蒸し茶。
そしてとっておきは、師のおひとりが直に指導なさって作られた、熊本産の釜妙り茶です。
緑茶を飲む機会が多いのは、夜よりも朝。出掛けに気分をビリッとさせるのに、ちょうどいいですよね。
お茶の成分が体にいいという研究が、ずいぶんなされているようですが、私はそれについては詳しくありません。ただ、健康志向からでもお茶に関心をもつ人が増えて、おいしいお茶を求める声が高くなることは大歓迎です。ミネラル分をたっぷり含んだ土壌で、農薬を使わず、有機栽培した銘茶が、日本の各地それぞれに生まれるのが理想だと思います。いいお茶をおいしく飲む。それは確かに体にいいことに違いないですからね。