20億年前の生物には酸素は猛毒だった

地球は今から46億年前に起きたビッグバンによって誕生したといわれています。この46億年を仮に1年365日に換算して、生物の進化の歴史を振り返ってみると、どうなるでしょうか。

正月元旦の午前0時に地球が誕生したとすると、3月中旬ごろ(35億年以上前)にはすでに最初の生命が誕生していたと考えられています。

当時の地球にはまだ空気もオゾン層もなく、地表は太陽の強烈な紫外線をまともに浴びていました。この太陽のエネルギーによって化学反応が起こり、やがて生命に必要な核酸(遺伝子の材料になる物質)やアミノ酸(タンパク質の材料になる物質)のような有機化合物ができたと考えられます。

そして4月中旬、桜も盛りを過ぎたころ(32億年前)には、最古の微生物が生息していたことが化石の研究から確認されているのです。

1年もなかば以上が過ぎ、7月下旬に入ったころ(20億年前)に、藍藻類と呼ばれる原始的な藻の一種が大発生して、やがて地球全体をおおうようになります。藍藻類の繁栄によって地球の環境は一変しました。

この藻類は太陽のエネルギーをもらって光合成を行い、水と炭酸ガスから糖をつくり、酸素を排出しました。このため、地球は一面に酸素でおおわれるようになったのです。

それ以前の、酸素がない環境に順応していた嫌気性生物にとって、酸素は猛毒で、そのほとんどが死滅しました。

かわりに、猛毒の酸素をうまく生命活動に利用する術を身につけた好気性生物が現れ、以後、地球では嫌気性生物は衰え、好気性生物が生き残ることになるのです。

8月上旬ころ(18億年前) になると、遺伝子をしっかりした膜(核膜)で包み、何世代もかかって蓄えてきた遺伝情報を大切に保護する「核」の構造を備えた生物が誕生しました。

これがヒトをはじめとする多細胞生物の祖先ともいうべき真核生物です。やがて藍藻類の吐き出しつづける酸素が、地球上にふり注ぐ太陽のエネルギーによって化学反応を起こしてオゾンが発生し、現在も地球をおおっているオゾン層が形成されます。
オゾン層のおかげで、太陽の有害な紫外線がさえぎられ、海のなかにいた生物たちが陸に上がって生活できるようになったのです。

こうしてさらなる進化に進化を重ね、ヒトが誕生したのは、暮れも押し詰まって大晦日の夜8時を過ぎ、NHK紅白歌合戟が始まろうかというころのことです。

したがって、日本人と呼ばれる私たちの祖先が形成されたのは、除夜の鐘が響き始めたあとということになります。日本人の平均寿命は現在、女性が83.59歳、男性が70.11歳となり、世界の最長寿国とされていますが、その私たちの80年の一生は、生命の長い歴史のなかでみれば、ほんの除夜の鐘の一突きにも及ばないことになるのです。

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