新顔のハタケシメジに証明された強力なガン増殖抑制効果

30匹のマウスを10 匹ずつの3群に分け、すべてのマウスの皮下にサルコマ180を移植した翌日から異なるエサを与えます。

第1群(対照群)には普通のエサを、第2群にはハタケシメジの粉末を0.37 g 含むエサを、そして第3群には、第2群と同じ量のハタケシメジをα・アミラーゼで処理したものを含むエサを与えました。

こうしてサルコマ180 の移植後18 日間異なるエサを与え、増殖して大きくなるガンの容積を5週間にわたって測定しました。

結果は、加速度的にガンが大きくなる対照群にくらべ、ハタケシメジ群ではガンの増殖が大きく阻止されたのです。ハタケシメジ+ α・アミラーゼ群では、さらに強く阻止される傾向が4週後に示されました。

5週後に摘出したガンの重さの平均の比較では、対照群が平均2.O gだったのに対して、ハタケシメジ群では12.7 g に抑制されました。

ハタケシメジ+ α・アミラーゼ群ではブナシメジの場合と同様でさらによく、10.5 g にまで抑えられました。

増殖阻止率は、ハタケシメジ群が42% 、ハタケシメジ+ α・アミラーゼ群は52 %にのぼっていたのです。

しかも、移植したガンが根づかずに治癒した例は、対照群では当然のことながら10匹中0匹でしたが、この2群では、どちらも10 匹中2匹が治癒しました。

ハタケシメジの強力なガン抑制効果が示されたわけです。動物にきのこ自体を食べさせることで、ガンの増殖抑制効果がはっきりと証明されたきのこは、現時点ではブナシメジとハタケシメジの2種類だけです。

紹介してきたように、私は30年以上もきのこについて研究してきましたが、残念ながらわからないことがまだたくさんあります。

しかし、食用きのこのガン予防効果は今後ますます多彩な広がりを見せることになると信じています。

ガンを防ぐには、何はともあれ、きのこを食べていただかねばなりません。

その前に、抗ガン作用が証明された身近な食用きのこは以下のとおりです。
10種類のきのこのうちマイタケを除く9種類については、本ブログでも紹介されています。

エノキタケ
キシメジ科エノキタケ属。国内生産量は年間10万トンを超え、シイタケを抜いて第1位。最もポピュラーな食用きのこに成長した。エノキタケ栽培家庭のガン死亡率は一般家庭より全ガンで39%低く、胃ガンで5%、食道ガンで62%低い。エノキタケをほとんど食べない人がガンで死亡する危険度を100とするとエノキタケを週3日以上食べる人の危険度は47で、半分以下。フリーラジカル消去作用にすぐれ、スーパーオキシド消去活性はレモン汁の9倍、シルラジカル消去活性はレモン汁の4.4倍。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率81.1%。糖タンパクEA6の経口投与(内服)によるガン増殖阻止率は最大59%。
キクラゲ
キクラゲ科。中国の現代医学では、シロキクラゲ科のシロキクラゲ(銀耳)が珍重され、肺ガンに効くとされる。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率42.6%。
シイタケ
ヒラタケ科マツオウジ属。世界生産量はマッシュルームに次ぎ、第2位。国内でも生シイタケ年間7万4000トン、乾シイタケ8000トンが生産、出荷されるが、近年は国内生産量トップの座をエノキタケにゆずっている。スーパーオキシド消去活性はレモン汁の3.5倍。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率80.7%。
ツクリタケ(マッシュルーム)
ハラタケ科。別名セイヨウマツタケ。世界生産量は年間100万トン近く、食用きのこのなかで第1位。スーパーオキシド消去作用にすぐれ、レモン汁の14,7倍。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率は低く12,7% 。
ナメコ
モエギタケ科。国内生産量は年間2 万3000トンで、エノキタケ、シイタケ、ブナシメジに次ぎ、第4位のポピュラーなきのこ。柄の長い長野県産が2割を占める。フリーラジカル消去活性はレモン汁より弱いというデータが出ている。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止試験では86,5% と、マツタケに次いで高い阻止率を示した。
ヒラタケ
ヒラタケ科ヒラタケ属。ブナシメジに似ており、以前は「シメジ」として市販されていたが、むしろシイタケの近縁種。国内生産量年間1万6000トン。フリーラジカル消去作用にすぐれる。スーパーオキシド消去作用はレモン汁の10.7倍、ヒドロキシルラジカル消去作用はレモン汁の4.4倍。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率75.3%。
ビナシメジ
キシメジ科シロタモギタケ属。国内生産量年間6万トンはエノキタケ、シイタケに次ぎ第3位。その7割近くを長野県産(商品名やまびこほんしめじ)が占める。子実体(柄と傘)粉末のマウスヘの経口投与で、発ガン率は1ニ7に抑えられた。ガンの増殖抑制試験でも、同じ経口投与で阻止率48 %、α・アミラーゼ処理すると60% と、著しい抑制効果を発揮した。
マイタケ
サルノコシカケ科マイタケ属。この科のきのこは一般に傘が硬質で食用にできないため、煎じ汁が民間薬として用いられてきたが、マイタケはこの科ではめずらしく食用になる。国内生産量は年間2万3000トンで、第4位のナメコと肩を並べる。
静岡大学農学部の水野卓名誉教授らの研究によると、多糖体のβ・(11 3) グルカンがタンパク質と結合して水に溶けない形になった糖タンパクを10〜30 %と多量に含むのが特徴。この糖タンパクを分子の大きさによって5つに分画し、サルコマ180を移植したマウスに注射したところ、各分画とも二疋の増殖阻止率を示し、特に分子量2万~5万の低分子画分が高い阻止率を示した。このガン増殖抑制作用は、経口投与でも得られることが確認されている。
マツタケ
キシメジ科キシメジ属。昔から秋の味覚として珍重されるが、菌根菌で人工栽培がいまだ可能でないため、子実体の抗ガン作用はくわしく調べられていない。熱水抽出物の注射によるガン増殖阻止率は91,8% と、実験の対象となった7種類の食用きのこで最も高い阻止率を示した。

エノキダケとブナシメジの毎食摂取が基本

ガンの予防には
発ガン抑制とガンの増殖抑制の2つの過程を考えるべきで、そのいずれにも身近な食用きのこが効果を発揮することを紹介してきました。

読者がお知りになりたいのは結局のところ、何をどのくらい食べればガンが防げるのかという一点に尽きるかもしれません。

エノキタケについては疫学調査の結果から、週3日以上、4人家族で週10袋が摂取量の目安とされました。

ブナシメジについては今述べたように、4人家族で1日1パックが目安となりますが、できればもう少し多めに摂取したほうが効果は高いでしょう。

年間にすれば365パック以上になりますが、現在の平均的な4人家族の摂取量は年間20パック程度にすぎないのが現状です。ずいぶんたくさん食べなければならないのだな、と思われたでしょうか。

しかし、きのこの抗ガン作用の研究を長年続けてきた手ごたえから、数ある食用きのこのなかでもエノキタケとブナシメジのガン予防効果が一歩抜け出ているように私には思えます。私自身、ここ何年かはこの目安量にしたがって家族とともにエノキタケとブナシメジを食べているのです。

では、他の食用きのこをどうするかということになりますが、私はエノキタケとブナシメジの常食を毎日の献立のベースとしながら、他のきのこも食べる機会があれば旺盛に食卓にとり入れるということでいいのではないかと思います。

私たちの研究で現在までに明らかになったガンを防ぐきのこの王様はエノキタケとブナシメジですが、人工栽培が最近可能になった新顔の食用きのこも続々と登場しています。

こうした新顔のなかにもすぐれた抗ガン作用を発揮するものがあると報告されています。その反面、なかには声高く喧伝されているものもありますが、国立がんセンターで市販のすべてのきのこを試験してみた結果では、それほどでもないものもありました。

食用きのこのはあらゆる分類が特徴ですが、。みなさんもよくご存じのきのこが多いなかで、シメジ属の「ハタケシメジ」はまだ見たことも聞いたこともないかたが多いかもしれません。

これまで「シメジ」と呼ばれてきたきのこにはヒラタケとブナシメジがありました。

ヒラタケは傘が灰色がかり、少し凹んでいるのに対して、ブナシメジは傘にまるみがあり、傘の茶色と柄の白のコントラストが美しいきのこです。

全国生産量ではすでにブナシメジがヒラタケの4倍以上に伸びていますので、ブナシメジのほうでも「シメジ」と表記してもよかったのですが、そうしなかった理由はブナシメジがシロタモギタケ属のきのこで、植物学上の分類ではこれとはまた別にシメジ属というのがあるからです。「香りマツタケ、昧シメジ」といって昔から珍重されているシメジとは、シメジ属のホンシメジのことです。人工栽培の試みが長く続けられましたが、マツタケと同じく菌根菌(他の植物の根などと特殊な栄養のやりとりをして共生するきのこ) であるため、今日までホンシメジの栽培に成功した例はほとんどありません。

ハタケシメジは、そのホンシメジの近縁種で、人工栽培が数年前に可能になったきのこです。うま味や歯ざわりは野生のホンシメジにもまさるといわれ、現在は一部の料亭などで用いられているだけですが、数年後には私たちの食卓にものぼるポピュラーなきのこになるものと予想されます。

私たちはさっそく、このハタケシメジの抗ガン作用を調べる実験を行いました。実験方法は、ブナシメジによるガンの増殖抑制効果を調べたときと同じく、ハタケシメジを粉末にしたものをマウスに食べさせる方法をとりました。

4人家族1日1パックがブナシメジの摂取目安

誰でも手軽に買えるブナシメジのあのパックが、発ガン抑制およびガン増殖抑制という二重の効果を秘めた「食べるガン予防薬」であることが、2つの実験からおわかりいただけたかと思います。

問題は1日の摂取量の目安です。薬というものは決められた服用量より多く飲んだからといって効き目が強くなるわけではなく、むしろ副作用が心配されるのと同様で、ブナシメジのような食品も多く食べれば食べるほどガン予防効果が高まるというものではありません。

エノキタケの場合のように疫学調査が行われたわけではないのではっきりとはいえないものの、実験でマウスに与えたブナシメジ粉末の量と抑制効果の強さから試算すると、4人家族で1日1パック食べるだけでもガン予防につながる可能性があるだろうと推測しています。

2つの実験ではマウスにブナシメジを毎日食べさせましたが、私たちもガン予防効果を期待するのであれば、1日に食べる量はわずかでも、毎日食べることが大切でしょう。

私たちの体内では毎日、フリーラジカルが発生して発ガンの機会をうかがっており、喫煙などの習慣で発ガン物質を摂取すれば、フリーラジカル発生量はさらにふえます。

そのフリーラジカルを速やかに消去するには、血祭のフリーラジカル消去活性を常に高いレベルに保つ必要があります。そのためには、ブナシメジのようなフリーラジカル消去食品を毎日とることが近道です。

また、加齢とともに弱体化する治安維持システム(免疫システム)を賦活して、体内にできたガンの芽を速やかに摘みとるためにも、ブナシメジやエノキタケなどのきのこを毎日食べることがすすめられるのです。

かつては市販の「シメジ」の主流だったヒラタケが熟を加えるとやや歯ざわりが落ちるのにくらべ、ブナシメジ(「やまびこほんしめじ」) は品種改良の成果でプリプリとした食感があり、熟をかけても歯ざわりが落ちません。

このため、数回噛むと、すぐに飲みこんでしまいがちですが、先ほどの実験で明らかになったように、ブナシメジと唾液が口の中で十分にまざり、α ナミラーゼの作用でどろどろになるまで噛んでから飲みこむように努めれば、同じ1パックのブナシメジがより高いガン予防効果を発揮してくれます。