にんにくで肝機能障害を抑制する

肝臓は、私たちの体の中で、とても重要な臓器です。肝臓には、栄養素の代謝、有毒物質の解毒、アルコールや糖の分解、ホルモンの調整、ビタミンの活性化など、数えきれないほどたくさんの働きがあります。

そんな大切な肝臓ですが、アルコールの摂り過ぎや脂肪分の摂り過ぎ、また食品添加物の摂取や有毒物質を吸収することなどによって、肝機能が衰えたり、障害を受けます。しかし、再生能力に優れた肝臓は、少しの障害では症状があらわれず、「沈黙の臓器」と呼ばれています。肝臓の障害が少しずつ進行していても自覚症状がなく、気づいた時には手遅れになっていることがあるので注意しなければなりません。

肝機能が低下すると、栄養素の代謝や解毒作用が弱まって疲れやだるさを感じるようになります。肝機能障害を抑制、改善するには、できるだけ疲労を取り去り、高タンパクの食品を食べて、飲酒を控えることが必要です。肝臓を保護しながら強化し、肝機能をさらに高めるために、にんにくを有効に使います。

肝機能の衰えに対するにんにく効果

にんにくの有効成分は、肝機能の改善に次のように働きます。

  • 脂肪をエネルギーに変換する
  • 体内に吸収された脂肪が肝臓でエネルギーに変わるためには、必須アミノ酸のひとつであるメチオニンという成分が必要です。このメチオニンが不足すると、肝臓に脂肪がたまって脂肪肝となり、さらに肝硬変や肝臓ガンへ進行する可能性があります。にんにくには、メチオニンが豊富に含まれています。

  • 有害物質の解毒をする
  • にんにくの有効成分アリシンには、有害物質を無毒化し、分解し、排泄する働きがあります。また、細胞組織を活性化して、肝臓を保護したり強化したりするのに効果的です。

  • タンパク質とあわせて効果を上げる
  • 肝炎の食事療法には、高タンパク質、高糖分、高ビタミン、そして低脂肪が用いられます。これらに、タンパク質と相性のよいにんにくをプラスすることにより、回復効果をよりアップさせます。

にんにくの有効成分アリシンのその他の作用や効果についてはこちら

にんにくで糖尿病を改善する

糖尿病は膵臓(すいぞう)の機能の不調であって、摂取された糖質の量に対してインスリンが不足することにより、血中の糖度が上昇して高血糖を引き起こす病気です。インスリンとは、私たちの体の中でつくられるホルモンであり、血液中のブドウ糖(血糖)を少なくする働きをしています。膵臓には、「ランゲルハンス島のβ(ベータ)細胞」という名前の細胞がいくつかあり、この細胞でインスリンがつくられています。

現代では、糖尿病にかかる人が増え、それが子供にまで広がっています。

糖尿病が悪化すると、栄養を摂ってもそれが吸収されずに体が衰弱していきます。さらに重症化すると、高血圧や動脈硬化、腎症、網膜症、神経障害など、さまざまな合併症を引き起こすようになり、治療が困難な状態になってしまいます。

糖尿病の原因となっているのは、主に食べ過ぎです。それに運動不足がプラスされ、これらが引き金となって発病します。そして、患者のほとんどが肥満症でもあります。ですから、治療には食事療法が用いられ、栄養バランスを考えたメニューと必要なカロリーを摂取して、併せて毎日欠かさず適度な運動も行うようにします。

糖尿病に対するにんにく効果

さまざまな合併症を伴う恐れのある糖尿病ですから、その食事療法にぜひ取り入れたいのが、万能薬といってもよいにんにくです。にんにくに含まれる有効成分のアリシンが、糖尿病の改善に、次のように働きます。

  • アリシンは、体内のビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、ビタミンB1以上の力を発揮して糖質の代謝を促します。
  • アリシンがビタミンB6と結合し、膵臓が活性化してインスリンの分泌を促進させ、血糖値を正常にします。

このように、アリシンは他の物質との結合能力に優れているのでこれを活用すると良いです。また、ビタミンCが糖の消費を促すので、にんにくとビタミンCを併用すると、血糖値を正常化するのにより効果的となります。

にんにくでガンを予防する

日本における死因の第一位はガンで、ガンによる死亡率の増加は、深刻な社問題になりました。死亡者は特に働き盛りの中高年に多く、年齢が若いがゆえに病気の進行が速いという特徴があります。主な原因としては、遺伝子を傷つける発ガン性物質やウイルス、放射線などが挙げられます。

ガン対策としては、早期の発見と治療が大切です。面倒だと思う人もいるでしょうが、40歳を過ぎたら、きちんと定期検診を受けたいものです。

ガンの予防には、禁煙や菜食といわれるようにガンと食事の関係が研究されて、食生活を改善することが重要だと注目されています。特に、抗酸化作用のあるベータカロテン、セレニウム(セレン)が不足するとガンの発生率が高いことがわかっているので、こういった栄養素を摂取することもガンの予防につながると考えられています。

疫学の研究からは、胃ガン、肺ガン、大腸ガンなどの予防に緑黄色野菜が大きく作用していることも示されていて、ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEといった栄養素の抗酸化作用が特に評価されています。

ガンの予防に効果的な成分として、大豆に多く含まれているフラボノイドをはじめ、お茶に含まれるカテキン、にんじんなどベータカロテンのテルペン類、ごまのセサミノール、そして、にんにくやたまねぎに多い硫化化合物などがあります。

にんにくの制ガン作用

ガンに対してのにんにくの効果について、世界の研究者たちによって見解が発表されています。にんにくの有効成分は、ガンの予防に次のように働きます。

  • ゲルマニウムによる制ガン作用
    にんにくに含まれている有効成分のゲルマニウムには、それ自体に制ガン作用があり、含有量の多さではサルノコシカケに続きます。
    ゲルマニウムは私たちの臓器に酵素を供給し、それと反応して細胞を活性化させ、疲労を回復してくれる物質です。自然治癒力を高める効果もあり、ガン予防の改善につながります。
  • 硫黄化合物の力
    にんにくをすりおろした時などに発生する強いにおいの元となっている硫黄化合物には、ガンの発生や増殖を予防する作用があります。また、発ガン物質を体外に排出し、解毒作用を促進します。
  • 前ガン病変を抑制
    硫黄化合物の中でも注目されるのがSMC(S-メチルシステイン)という物質。ある大学の研究グループの動物実験では、SMCの投与により肝臓ガンや大腸ガンの前ガン病変(ガンになる確率の高い、組織の異形成)を抑制できることがわかっています。

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