(体験談)腰痛が生姜湿布でよくなった

55歳のAさんは、年齢よりもかなり若く見える。高原レタス栽培を生業としているので、春夏の間は寝る暇もないほど忙しいが、秋から冬にかけては、比較的のんびりできるらしい。
毎年10月になると、私がやっている伊豆の断食を主とした保養所に、ご夫婦で来るのが、ここ7 ~8年の恒例行事になっていた。断食中でも、いつも元気にゴルフに出かけるA さんだが、前回来たときは、ゴルフセットを持参していなかった。
「おいしい空気を吸ってゴルフをするのは、断食よりも健康にいい」などといっていたAさんがゴルフをしないのは珍しいと思って開いてみると、2か月ほど前、農作業をしていて腰が痛くなり、以来ずっと、腰に違和感があるという。「自分では若いつもりでいても、やっぱりもう若くはないということですよ」などとつぶやく姿は、以前のエネルギッシュなAさんからは考えられない。

これまで病気らしい病気もせず、健康に絶対的な自信があった人ほど、突然襲われる体の不調にはショックを受けるようだ。普通に歩くのには支障がないようだが、疲れると腰に鈍い痛みが出るという。「重たい荷物を持ったり、同じ姿勢を長時間続けていると、腰に電流が走るように痛むこともある」と、顔をしかめている。
奥さんに聞いてみると、A さんが初めて腰が痛くなった日は、前日がとても暑くて、ビールをガブ飲みしたあと、クーラーをガンガンにかけたまま、下着1枚で朝まで寝ていたそう。さらに、その1か月ほどは、「暑いから、湯船につかりたくない」といって、お風呂に入る代わりに朝晩、水シャワーを浴びていたという。腰痛の多くは、下半身の筋肉の衰えに加え、冷えが原因で起こる。私はA さんに、「ここにいる間は毎日、生妻湿布に通うように」と、アドバイスした。私の保養所には、マッサージや生姜湿布を受けられる施設を併設しているのだ。生姜湿布を腰にあてると、血行をよくして腰を温める作用があるのと同時に、鎮痛作用もある。

私のアドバイスを聞き入れたAさんは、7泊8日の断食期間中、毎日必ず、生姜湿布に通った。初日には「腰どころか、体中が温まって、まるでサウナに入っているかのように大王の汗をかきました。
まだ、全身がポカポカしています」と驚いていたが、7日目には「腰の痛みや違和感がきれいになくなりました。これまで、鍼に通ったり、整体をしてみたり、いろんなことをしてもよくならなかったのに、生姜湿布で治るなんて、信じられませんよ」と、大喜びしていた。
すっかり元気になつたAさんは、「来年はゴルフバッグを持って、また必ず来ます」と言って帰って行ったが、そのためにも、体を冷やさず、生姜湿布を自宅でも続けてほしい。体を温める生妻紅茶も飲み続けるようアドバイスした。また、年齢とともに衰えてきた下半身を強くするには、日頃からウォーキングやスクワットなどで鍛えるほか、ゴボウやニンジン、レンコン、ヤマイモなどの根野菜を積極的に食べることもおすすめしたい。ちなみに、腰痛によく使われる漢方薬の「八味丸」にも、ヤマイモが入っている。

(体験談)夏の間の冷房病を改善できた

毎年、夏が来るのが恐怖だったというMさん。長年、関東にお住まいだが、もともとは北国生まれの北国育ち。若い頃からクーラーが苦手だったが、40代に入った噴から、冷房の効いた部屋に長時間いると、決まってひどい頭痛や肩こりに襲われるようになった。
両肩が、まるで金属の板を入れたようにガチガチに硬くなり、首を左右に振るのもっらい。そうこうしているうちに頭の芯が、キリキリと千枚通しで穴を開けられているかのように痛み出し、いてもたってもいられなくなる。ひどいときは、吐き気にも苦しめられ、トイレから出てこられなくなるという。「そうなるともう、頭痛薬を飲んでも効かないんです。
じっと横になって、嵐のような発作が過ぎるのを待つしかありません。冷房を避けようとしても、仕事をしている以上、職場のエアコンのスイッチを勝手に切るわけにもいかない。家に帰ったら帰ったで、人一倍暑がりのご主人が、リモコンでエアコンの設定温度を低くする。夜中に夫婦の寝室をそっと抜け出し、リビングのソファやフローリングに横たわって、まんじりともせずに朝を迎えることもしばしばだった。
また、体力がなくなるのか、夏風邪にも悩まされた。一度ひくとなかなか治らない。熱は下がっても、鼻水や咳がずっと抜けないのだ。やっと治ったと思ったらまたひき、夏の閉じゅう、ほとんど風邪をひいている年もあった。
「万病の原因は冷えにあり、生姜が体を温める」という主張に、「これこそ、私が求めていたものだ! 」とひらめくものがあり、病院の帰りに本屋さんに寄って、同じ本を買って帰ったという。本を読んで、自分の体が人一倍冷えていると感じたMさんは、生姜紅茶や生姜湯に、くずさらに体を温める葛粉をプラス。毎日、飲むのを日課にした。そのほかにも、朝のみそ汁や、手づくりの料理など、おろし生妻や刻み生妻をどっさり入れて食べた。生姜しょうゆや生姜だれ、生姜ドレッシングなども作ったという。

また、風邪のひきはじめにも、葛粉入り生姜湯やネギ入り生妻湯、生妻酒のお湯割りなどを早めに飲み、温かくしてすぐに布団に入るようにした。こうして生萎を活用し、徹底した温め作戦を半年間実行した結果、昨年の夏は頭痛の発作が1回しか起こらなかったという。それも重いものではなく、熱い葛入り生姜湯を飲んで横になると、すぐにおさまった。夏風邪もひかなかったというから、驚くほどの効果だ。毎年、夏パテがひどくて食欲も落ち、秋口には体重が2~3kg減っていたが、それもなく、自分でも驚くほど元気に過ごせたという。今年の夏も、ぜひとも生妻パワーで乗り切ってほしい。

(体験談)うつ病で半年間も休職後、職場に復帰できた

昨今、学校の教師をとりまく環境も厳しさを増す一方。知人の息子のKさんは、有名大学卒業後、高い倍率をかいくぐつて、小学校の教員採用試験に合格。熱意あふれる若き教師として、仕事に励んでいた。
プライベートでも、学生時代から交際していた女性と結婚。一女にも恵まれて、周囲からは前途洋々に見えたものだ。

だから、そんなKさんが、勤めている学校をうつ病で休職していると聞いても、にわかには信じられなかった。
私も一度会ったことがあるが、生真面目そうには見えたものの、明るい笑顔が印象的な好青年だったのだ。しかし、彼の母親である知人によると、転勤したばかりの学校で、いわゆるモンスターペアレントに、度重なる無茶な要求を突きつけられ、心身ともにすっかり参ってしまったらしい。

病院に通い、投薬を続けているが、症状は一進一退で、復職のめども立っていないという。思いあまった母親が、私のところに相談に見えたのだ。

私は精神科の専門医ではないが、うつ病などの精神的な不調は、漢方医学では「冷え」が招くと考える。体を温めることは不調改善に効果的なので、とにかく生姜をたくさん食べることをすすめた。「気を開く」といわれる「シソの葉」にも、うつを改善する作用がある。

しょうがとうシソの葉を入れた「シソ入り生姜湯」を1日3杯以上飲むことと、すりおろした生姜や刻んだシソの葉をお茶パックなどに入れて湯船に浮かべる「生姜風呂」や「シソの葉風呂」に毎日入ることなどをアドバイスした。

また、アルコールが飲めるかどうか聞いたところ、強くはないものの、たしなむ程度。しょうがなら大丈夫とのこと。それならば、奥さんに「生美酒」の作り方を教えて、Kさんに寝る前に熱いお湯で割って飲ませるようすすめた。

私の説明を全部メモして帰った知人は、息子夫婦にそれを伝えたのだろう。しばらくして、彼女から「先生に敢えていただいたことは全部、実行しているようです。就寝前に生妾酒を飲むようにしたところ、おかげさまで、ぐつすり眠れるようになったと喜んでいました」と、お手紙をいただいた。Kさんは何よりも不眠に苦しめられていたとのことなので、それが解消したという

ことは、これからはきっとよいほうに向かうと確信した。案の定、眠れるようになって、次第に元気をとり戻していったKさんは、半年間学校を休職した後、無事に復職できた。

母親と一緒に私のクリニックにやってきたK さんは、以前より少しヤセてはいたものの、顔色もよく、笑顔が戻っていた。「先生の教えを守って、生姜やシソをたくさん食べたのがよかったのだと思います。
どんなに食欲がなくても、落ち込んでいても、眠れなくても、生姜やしその香りを喚ぐと、わけもなく気持ちがバッと晴れていく気がするのが不思議でした」と話してくれたが、これこそが、生妻やシソの〝気を開く〞パワーなのだ。ストレスがかかると血管が収縮して血行が悪くなり、体が冷える。今後は、上手にリラックスする方法を身につけてほしい。もちろん、就寝前の生姜酒も味方にして。
蒸し生姜を実際に使ってみた使用感と効果