にんにくで疲労を回復し体力を増強する

ビタミンB1は、疲労を回復するのに大切な栄養素として知られています。しかし、現代では、インスタント食品やファストフードに依存した食生活によって、ビタミンB1が欠乏(不足)している人が大勢いるとされています。

  • 激しい筋肉疲労
  • 老化進行による体力の消耗
  • 神経の慢性疲労
  • 不規則な生活からくる食生活の偏り

ビタミンB1欠乏症では、このような症状がみられます。過度な仕事による過労、ストレス、時間に不規則な生活などによって多くの人が疲労や倦怠感、無気力、慢性的な体の不調、集中力の欠如などを訴えているのです。

にんにくの効用として第一にあげられるのは、疲労回復や体力増強です。特に体力の消耗が激しいスポーツ選手や重労働をする人にはビタミンB1が不可欠です。にんにくには、このビタミンB1が多く含まれていますから、元気の源であるビタミンB1を補給してくれるにんにくを摂取することで、疲労の予防や回復、さらに体力の増強が望めます。

実際に、疲労回復・体力増強のための栄養剤として市販されているものには、ビタミンB1やビタミンB6などが含まれています。

疲労回復に対するにんにく効果

にんにくの有効成分アリシンは、疲労回復・体力増強のために、次のように働きます。

  1. アリシンはビタミンB1と結合して活性持続性ビタミンのアリチアミンとなり、ビタミンB1よりさらに安定した効力を発揮します。
  2. ビタミンB1が不足するとエネルギーを作用する糖の代謝が不完全燃焼を起こし、疲労につながってほかの病気にかかりやすくなります。ビタミンB1を補給することで、酵素が安定してエネルギーは完全燃焼します。
  3. 体内の新陳代謝に必要な酵素が不足すると、細胞の分裂が低下し疲労が増します。アリシンは酵素をつくり、代謝を活性化するので疲労が回復します。

ほかに、にんにくには滋養強壮作用もあります。末梢血管を拡張させ血行を良くして自律神経を安定させます。アリチアミンは、神経組織を刺激して神経伝達物質のアセチルコリンの分泌を促し、運動筋肉を興奮させます。また、ホルモンの分泌を促進し、生殖細胞を増大させます。

にんにくで風邪をひかない体をつくる

「風邪は万病のもと」とよくいわれます。ウィルスによる感染症で、のどや頭に痛みが出たり、悪寒、発熱、鼻水やせきを伴います。こじらせると、気管支炎や肺炎をおこすこともあるので軽視できません。

一般にいう風邪には2種類があります。ひとつは、疲労がたまったり、睡眠不足がたたったり、寒さや冷えなどが原因となって発病する感冒です。そして、もうひとつは流行性感冒です。これはいわゆるインフルエンザといわれるもので、ウイルスによって感染していきます。このウイルスは、私たちののどや気管支に吸い込まれると、そこで増殖して、せきをしたりくしゃみをするときに菌がばらまかれ、多くの人たちに感染していくのです。

感染する原因には、疲労や体調不良、空気の乾燥などもあります。皆さんも風邪をひくのは、だいたい体が疲れているときではないでしょうか。でも、菌を吸い込んだからといって、みんなが必ず風邪をひくわけではなく、抵抗力の強い人の場合だと症状が出ないまま終わります。逆に抵抗力の弱い人(子供やお年寄りなど)、体力が落ちている人は風邪をひきやすいのです。抵抗力の強い人でも、そのときの体調によって大きく左右されることになります。

ウイルスを寄せつけないためには強い抵抗力を身につけることが大切です。普段から体力をつけておいて自然治癒力を高めておくと、風邪をひいたとしても軽くて済みます。

にんにくは、疲労回復に効果があって、外敵に対する抵抗力を高め健康増進に役立つことが知られています。

風邪に対するにんにく効果

にんにくの有効成分アリシンは、風邪の予防に、次のように働きます。

  • 抗ウイルス作用を発揮する
  • とても強い抗ウイルス作用を持つアリシンは、風邪のウイルスが侵入してきてもそれを破壊します。また衰弱している細胞を活性化して新陳代謝を促し、体力の増強にもつながります。

    風邪をひいたら・・・

  • 発汗・解熱を促す
  • 保温作用で体をあたため発汗を促します。寝る前ににんにくを摂取すると熱が下がりやすく、回復も早くなります。たくさん汗をかいてよく眠ることは、風邪の治療に重要です。

  • 鎮静・消炎作用が働く
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たん、といった風邪の諸症状の炎症を鎮め、鎮静作用が働き、つらい症状を緩和します。

にんにくで胃腸障害を改善する

胃腸に障害を抱える人には、だいたい神経質な人が多いといわれています。胃が痛む、というときは、過度なストレスがかかっていたり、食生活の問題が引き金となっていることもあります。

極度の緊張やストレスを感じることによって、胃液と胃壁のバランスが崩れ、胃液は粘膜を消化し潰瘍ができやすくなります。こういった時には、消化の悪い食べ物や刺激の強い食べ物を避けましょう。

便秘や下痢は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、末梢血管が収縮したり筋肉が緊張したりして、胃腸の働きが弱くなることで起こります。神経性なものが多いのですが、内臓は緊張して冷えた状態です。

微生物が原因で起こる急性なものは別ですが、便秘や下痢を含めた多くの胃腸障害は慢性的です。それなのに100パーセント薬に頼ってしまうと、薬をやめたらまた症状が戻ってしまって、薬を服用せずにはいられない状態になります。

できるだけ自然治癒力を高めて、日常生活の改善を心がけましょう。

偏った食生活やストレス、運動不足なども胃腸障害の原因となるので、これらを改善していく中で、食生活では次のことにも気をつけましょう。

  • 食物繊維を摂取する
  • 便の量を増やし、老廃物を出します。

  • 乳酸菌を摂取する
  • 腸内のビフィズス菌を増殖させ運動量を活発にし、整腸作用を促します。

胃腸障害に対するにんにく効果

にんにくの有効成分は、次のように胃腸障害の改善に働きます。

  1. 胃液の分泌を高めて消化を促進する
  2. 胃の中に食べ物が入ると、粘膜からホルモンが出て胃液の分泌を高めます。にんにくの刺激が胃液の分泌を手伝い、消化を促進します。

  3. 消化・吸収を助け食欲を増進させる
  4. タンパク質はペプシンという消化酵素によって分解されます。にんにくは、このペプシンの分泌を促して、魚や肉などのタンパク質の消化を助けます。世界中の肉料理・魚料理ににんにくが使われるのは、こういった効果がわかっているからでしょう。

  5. 鎮静・安定作用で腸の機能を正常にする
  6. 胃腸障害がある人は、胃液分泌のバランスが崩れています。にんにくに含まれている優れたビタミンB1のアリチアミンによって、末梢血管まで拡張し、腸の運動を活発にします。また、神経組織に鎮静と安定作用を与えて、整腸機能を正常にします。

有効成分アリシンは、善玉菌のビフィズス菌を活性化して悪玉菌の増殖を抑制する働きがあります。一方で、強い抗菌力がビタミンB2やB6を増殖させるビフィズス菌を阻止してしまうので、にんにくの食べ過ぎには注意が必要です。