イニシエーションとは遺伝子異常が積み重なる過程

イニシエーションとは遺伝子異常が積み重なる過程 についてです。仏教では、昔からの解脱を説きますが、ガンは予防に心がければ苦にはなりません。私たちが父親と母親から受け継いだ大切な遺伝情報を守るため、細胞内にはDNA修復酵素が待機しています。

ガン原遺伝子の点突然変異がたとえ起こっても、この酵素がせっせと修復してくれるのです。しかし、ガン原遺伝子に突然変異を引き起こすような原因が強く作用しつづけ、DNAの損傷が相次げば、酵素による修復が間に合わなくなり、ガン遺伝子に変わってしまうガン原遺伝子も出てきます。

イニシエーションとは、このようなガン遺伝子の活性化(ガン原遺伝子の突然変異)とガン抑制遺伝子の損傷が、ある1個の正常細胞のなかで積み重なる過程なのです。

では、ガン原遺伝子の塩基配列を乱し、突然変異を引き起こす原因とは何か、ということになります。

皆さんは「発ガン物質」、とお答えになるかもしれません。ひとまず、それは正解です。しかし、そうだとすると、焼き魚などに含まれる発ガン物質の「毒に対してエノキタケが「薬」として作用するという場合、これはどのような作用をさすのでしょうか?

実は、発ガン物質は体内に吸収されると、ある種の酸素によって細胞に「毒として作用しますが、エノキタケなどの食用きのこには、この悪玉酸素を消去する働きがあるのです。

きのこで活性酸素を除去

ガン細胞 原因 遺伝子のたった1ヶ所の狂いからができる

ガン細胞 原因 遺伝子のたった1ヶ所の狂いからができてしまいます。ヒトという種の絶滅には至らないまでも、DNAの突然変異によって、個体を死に追いやるのがガンという病気です。ガン細胞は正常細胞が変異して化けたものです。ヒトという種の絶滅には至らないまでも、DNAの突然変異によって、個体を死に追いやるのがガンという病気です。ガン細胞は正常細胞が変異して化けたものです。

その過程はイニシエーションとプロモーションの2段階からなるのですが、これをもう少しくわしくいうと、イニシエーションとは正常細胞のいくつかの遺伝子の変異が積み重なり、細胞内に変異が蓄積する過程とみることができるのです。

ガン細胞 原因

正常細胞から生まれたガン細胞がもとの正常細胞と大きく異なるのは「自律性増殖」と呼ばれる、無限に分裂増殖しっづける性質にありますが、これはある種の遺伝子の突然変異によってガン細胞が獲得した性質なのです。私たちの体では、脳や心臓を除くほとんどの臓器や組織で、新しい細胞が古い細胞と入れかあかわる新旧交代劇がたえず繰り返されています。

たとえば皮膚組織から古くなった細胞が垢となってはがれ落ちるときは、増殖因子と呼ばれる一種のシグナル物質が放出され、皮膚の基底層にある細胞を刺激します。すると、シグナル物質を受けとった細胞では、遺伝子Aが細胞内の各所にそのシグナルを伝え、分裂増殖を指示します。

細胞分裂が起こり、新しく生まれた細胞によって古い細胞の穴が埋められると、必要以上に細胞分裂が続かないよう今度は遺伝子Bが働いて、分裂増殖にストップの指示を出すのです。正常細胞にはこのような、分裂増殖をコントロールしている一群の遺伝子があることがわかってきました。

約60兆個もの細胞からなる私たちの体が、体として成り立っているのは、この遺伝子AやBが正常に作動して、細胞分裂が秩序正しく繰り返されているからです。

ところが、ガン細胞では、その遺伝子AやB に突然変異が起きていることがわかってきたのです。遺伝子A はいわば細胞分裂のアクセルで、遺伝子Bはブレーキです。アクセル役の遺伝子Aが活性化されて増殖のシグナルを出しつづけ、しかもブレーキ役の遺伝子B が故障しているために、まわりの細胞にはおかまいなしに無限に増殖する暴走車に変身してしまったのが、ガン細胞だということです。

正常細胞がもともと持っている遺伝子Aのことを「ガン原遺伝子」(または原型ガン遺伝子、英語でプロトオンコジーンと呼んでいます。これに対して、ガン細胞から発見された、このガン原遺伝子が突然変異を起こしたもののことを、「ガン原遺伝子」と区別して「ガン遺伝子」(英語でオンコジーン) と呼んでいます。

ガン(原) 遺伝子は、現在までに約100種類発見されています。たとえばヒトのガンから最初に分離された「ラス」という名前の遺伝子は、細胞膜でラス・タンパク質をつくり、このタンパク質によって、細胞外からの分裂増殖のシグナルを細胞内に伝える役目をしているものと推測されています。

このラスが活性化されて、シグナルのタンパク質を勝手につくりつづければ、その細胞内には分裂増殖を指示する声がたえず響きわたることになります。ラス遺伝子の塩基配列、つまりA・G・C・Tの4文字で善かれた長い長い文章を、正常細胞とガン細胞とで読みくらべた結果、わずか1ヶ所に誤りがあることがわかりました。

このたった1カ所の突然変異(点突然変異といいます)によって、正常細胞がガン細胞へと狂い始めるのです。ガンの遺伝子レベルでの解明が長足の進歩をとげたおかげで、このようにいろいろなことがわかってきました。

驚くべきことに、ガン遺伝子のもとになるガン原遺伝子は、私たち生物が生存するために、どうしても必要な遺伝子だったのです。この結果、現在地球上に存在するすべての脊椎動物はガンになることが知られており、ことに高度な進化をとげ、万物の霊長となった私たち人類はこの病気に苦しめられることになったのです。

こうしたことを考えると、私はときどき仏教でいう「四苦八苦」という言葉を思い出します。四苦とは、生まれる苦しみ、病になる苦しみ、老いる苦しみ、死ぬ苦しみで、八苦とはこれに怨み憎む人と会う苦しみ(怨憎会苦)、愛する人と別れる苦しみ(愛別離苦)、得られぬものを求めて得られない苦しみ(求不得苦) が加わり、八番目の五藩盛苦とはありとあらゆるものに苦がある、ということだそうです。

私はこの道の専門ではないから、むずかしいことはわかりませんが、実存のなかに苦があるということだと説く人もいます。私たちが生きていることと切っても切り離せない形で苦がある、ということでしょう。このことは、私たちの体の細胞のなかにガン原遺伝子があるという事実と、相通じているように思えてならないのです。

ガン患者に評判の健康食品

きのこで活性酸素を除去

遺伝情報 4種類の文字で書かれた長い文章

遺伝情報 4種類の文字で書かれた長い文章とえいます。ガンについて研究すればするほど、このような進化の果てにある現在の私たちの姿と、ガンという病気が密接に関わっていることがわかってきたました。

私たち人類は、約60兆個もの細胞が集まって体が構成されている多細胞生物です。1つ1つの細胞は、細胞膜という脂質の二重の膜で仕切られています。その膜で守られた細胞のなかに、さらに別の膜で守られた核があります。

この小さな核のなかに、約10万ともいわれる膨大な数の遺伝子が詰まっているのです。遺伝子の存在を最初に示唆したのは、19世紀中ごろのオーストリアの牧師だった、かのメンデルでした。

えんどう豆の遺伝を長年研究した末に、メンデルが因子(エレメント)と呼んだ遺伝子の本体が、DNA(デオキシリボ核酸)という高分子の物質であることが今日では解明されています。DNAは、塩基(アルカリ性の物質)と糖がリン酸をはさんで長い列をなしたものが、2本の鎖のようにからまってできています。

塩基にはアデニン(A) ・グアニン(G) ・シトシン(C) ・チミン(T)の4種類があります。髪の毛の色、皮膚の色、目の色、その他さまざまな親から子へと受け継がれるべき遺伝情報は、すべて、この4種類の塩基の並び方で決まるのです。遺伝情報とは、つまりA・G・C・T の4 つの文字で書かれた、長い長い文章であるということができます。

この文章を、私たちは遠い先祖から代々受け継いできたのです。こうしたDNAの成り立ちは、私たち人類の祖先ともいうべき真核生物(多細胞生物) があらわれる前の、藻類や細菌などの原核生物(単細胞生物)にも共通する、生命の生命たるゆえんであることが知られています。

DNA の塩基配列、つまりA・G・C・Tの文字の並びに、置換(別の文字に置き換わる)欠失(あるべき文字が欠ける)、挿入(ないはずの文字が加わる)などの異変が生じることを突然変異といい、この突然変異によって生物の進化と絶滅が大きく左右されてきたのです。

突然変異などといえば、何やら一大事件が起きているような気がしますが、むしろDNAの突然変異は日常的に起きており、DNA修復酵素などの働きでDNAの異変は日常的に修復されているのだということを、今日の分子生物学では教えています。

そうした変異と修復の繰り返しのなかで、好気性生物が酸素の多い環境で生き長らえてきたように、突然変異が環境に適応する方向に起これば生物は進化をとげます。しかし実際には、生存に不利になるような変異もひんばんに起きており、それはやがて種の絶滅をもたらしてきたのです。

きのこで活性酸素を除去
ガンの予防対策と増殖抑制作用を高める