肌の基礎知識

肌の新陳代謝のサイクルを利用する

肌が生まれ変わる周期は28日前後

日に焼けて黒くなった肌が、いつの間にか元の白い肌に。いつまでも黒いままということはありません。これは、肌が生まれ変わっている証拠。
新しい細胞が生まれて、古い細胞がはがれ落ちる「新陳代謝」の働きによるものなのです。
肌の一番外側にある表皮は、私たちが毎日お手入れをしているもっとも重要なところで、みずみずしい肌、しっとりとした肌といった美肌の決め手にもなる部分。厚さはわずか約1ミリです。
そんな表皮も拡大するといくつかの層に分けられています。内側から、新しい細胞を作り出す基底層、細胞と細胞の栄養を補給する働きがある有棘層、紫外線から肌を守る顆粒層、そしていつも手に触れ、外界の刺激から肌を守る角質層です。ほんの1ミリの厚さに、別の働きをもつ層があるのですから、いかに皮膚は複雑でデリケートなものかわかると思います。

新しい細胞は一番下の基底層で作られ、だんだん形を変えながら新陳代謝の働きで上部へと移動します。偏平の角質層になるまでにおよそ14日間、角質層になってからアカとしてはがれ落ちるまで14日間、合わせて28日間で新旧交代が行われるのです。

この細胞の一生を「肌のターンオーバー」といい、順調なら28日間で終わります。28日といえば生理周期も28日。なぜ28日なのかは明らかにされていませんが、28日というのはある種の「生命のリズム」といえそうです。このターンオーバーがあるからこそ、傷も治るし、悪条件にさらされている肌もなんとか保てるのです。このターンオーバーを積極的にうながせば、肌自身のもつ力を最大限に引き出して、生き生きとした肌を保つことが可能になるはずです。

夜ふかしは肌のターンオーバーを妨げる

朝、鏡を見ると顔色がくすんでいたり、化粧のノリが悪かったり、そんな経験があると思います。それは、「ターンオーバーがスムーズに行われていませんよ」という肌の注意信号。その原因を早く解消してあげなくてはいけません。見渡せば、ターンオーバーを妨げる原因は、身近にたくさんひそんでいます。
なにより肌によくないのが、夜ふかし、睡眠不足など不規則な生活。とくに、午後10時から午前2時までの4時間は何があっても睡眠をとるべきなのです。というのも、この時間に細胞の分裂が最も盛んになるといわれているからです。睡眠中は、心臓の鼓動がおだやかになり、毛細血管が広がって血液が体中にいきわたり、栄養やエネルギーが細胞分裂に使われやすくなります。午後10時に寝るというのがむずかしいという人は、せめて午前0時までには就寝を。また最近はストレスによる肌のトラブルが非常に、ふえています。例えば、過度のダイエットもストレスをふやす原因のひとつになります。

美肌のポイントは「キメ」

キメは肌表面の溝と丘による紋様のこと

キメは、木目とか肌理などと書くことばで、肌の表面のこまかなこと、と辞書には書かれています。私たちもよく「肌のキメがあらい」とか「こまかい」などと使っていますが、実際にはどういう状態をいうのかきちんと理解していますか。
肌にとって大切なポイントであることは、うすうすわかっていて、なんとなくイメージをも正しく答えられる人はあまりいないと思うので、この機会にしっかり覚えてスキンケア対策に生かしましょう。
キメについて知るには、まず、皮膚の構造から見なくてはなりません。といっても、むずかしく考えることはありません。まず、自分の手の甲をじっと見つめてみてください。目をこらすと、皮膚の表面に無数の溝が刻まれ、三角形、またはゆがんだ凹角形の紋様のような凹凸があると思います。この溝を皮溝と呼びます。この皮溝にはさまれて、盛り上がっている三角形または四角形の丘の部分が、皮丘とよばれるところで、皮溝と皮丘の織りなす紋様こそがキメなのです。

キメが細かい=小さい

一般的に「キメがこまかい」といっている場合には、ひとつひとつの皮丘が小さいという意味で使われていることが多いのですが、実は、キメが小さいということがイコール肌が美しいということにはなりません。
なぜなら、いくらキメが小さくても、肌の水分不足が原因で、キメの形が不揃いになっていたり、肌あれによってキメの形がくずれてふぞろいだったりすると、ハリやツヤのない不健康な肌に見えるからです。
つまり、健康で美しい肌というのは、キメの大小ではなく、キメの形がそろっていること、皮丘が適度の水分を含んで盛り上がっていること。この2点が大切なのです。こうした状態の肌を「キメがこまかい肌」というのです。

加齢によりキメは徐々に乱れてしまう

もともとキメの大きさや形は生まれつきのものですが、体の成長や年齢、環境などによって徐々に変化してきます。生まれたばかりのころには細かかったキメも、年をとって体が大きくなるにしたがって膨張するし、寒さや暑さ、紫外線など、外からの刺激によっても乱れてしまいます。
実際に、ふだん衣服で隠されている胸元やヒップの皮膚と顔や手の皮膚をくらべてみると、キメの乱れは一目でわかるはず。これは、一時的に肌があれたというものではなく、年をとるとともに、肌の内側からジワジワと起こってくる変化です。

過剰な皮脂もキメを乱す原因のひとつ

こうした年齢的な要因とは別に、肌の状態がドライかオイリーかでも、キメは乱れます。だから、若いといっても安心してはいられません。
主としてキメの乱れは、最初に述べた皮丘の乾燥、潤い不足が憤凶でおこるといわれていますが、皮脂分泌が多すぎるのも原因に。というのは、分泌された皮脂をそのまま放っておくと、皮溝に汚れがたまって肌があれ、キメの形が乱れるからです。また、皮脂の分泌が多すぎて、毛穴がつまってしまうと、なんとか皮脂を出そうとして毛穴が開いてしまい、やはりキメが乱れる原因になります。
よく「毛穴が開いていて、キメのあらいのが悩み」という人がいますが、毛穴が目立つからといって、必ずしもキメがあらいと判断するのは間違い。皮脂の汚れが皮膚の表面で化学反応をおこしてキメを乱していたり、皮脂の分秘が活発なために毛穴が開いて、目立っていることもあるのです。
いちばん知りたいことは、実際に自分の肌はキメがそろっているか、荒れているかという点でしょうが、これは器械などを使わないと、素人にはなかなか判断しにくいことだそうです。少なくとも、手で顔にふれてみたときにしっとり(ベッタリではなく) していれば、まずだいじょうぶでしょう。
キメのあれた肌はハリがなく、つややかさが失われがちなものです。くわしく知りたい人は、一度化粧品メーカーなどが実施している肌質のチェックを受けてみるといいかもしれません。

正しいスキンケア製品選びは、正しい知識から

肌の美しさを決定的に左右するのは、キメ、ハリ、ツヤの3要素。これは肌の一番表面の部分である角質層にキープされている保湿因子によって決まってきます。生まれたときには、すべての人の皮膚がこの保湿内† (NMF=天然保湿因子、セラミド=細胞間脂質、皮脂膜)を作り附す機能を備えていて、肌を健やかな状態に保つ力をもっています。ところが大気の汚れ、紫外線、室内外の温度・湿度差、ストレス、睡眠不足など、皮膚をとりまく諸条件によってこの生理機能の働きが鈍くなり、結果としてシワ、シミ、たるみといったトラブル(老化)を引きおこすのです。かつては一般的に「老化」という症状が現れるのは、「お肌の曲がり角」と呼ばれる、25才頃といわれていたのですが、食生活やライフスタイル、環境の変化などにともなって整理機能の低下(老化現象) が始まり、最近ではすでに18才頃から始まっているともいわれています。
そこで1日でも早い老化対策を、ということになるわけですが、手当たり次第に化粧品を使うのは考えものです。老化ケアは「あたえる」こと、「補う」ことにかたよりがちですが、20代前半のうちは、低下した生理機能を目覚めさせる自己修復ケアと、生活改善に努めることが大切です。「肌を清潔に、健康に保つ」ことこそ、老化対策の第一歩なのです。

自分の肌年齢に合わせたスキンケアが大切

では「肌を清潔に、健康に保つ」ためには、具体的にどんなスキンケア用品を選べばよいのでしょう。ターゲットとする年齢がはっきりしている化粧品は、それぞれの老化度に合わせた成分内容が配合されているため、不必要なものまでを肌にあたえる心配はありません。

ただ、23~24才噴から肌の老化度の個人差はとても激しいため、一概に年令と肌年令を一緒にして考えることができにくくなります。
ですから、23才の人でも30代向きの化粧品を使ってもいっこうに構わないわけです。とはいえ、季節の変わりめや、精神性の一時的なアクシデントを「老化した」と決めつけてしまっては早計です。
肌がどうもカサつく、つっぱる、小ジワができたなどというとき、には、とりあえず1ヶ月だけリッチなものを使って様子をみてみましょう。

しかし肌の調子がもとに戻ったらもう不必要です。余分なものをあたえ続け肌を甘やかしていると、トラブルの原因となることはもちろん、老化を早める結果にもなりかねません。注意してください。
また、「肌質、年齢向き、目的が限定されているシリーズ化粧品は、全製品使わなければ効果はないの? 」という声も聞かれますが、そんなことはありません。それよりも自分の肌との柑件のほうが人切です。「化粧水は使ううけれど、クリームは重いというときにはは省いてもokです。

正しい選び方、使い方を守らないととりかえしのつかないトラブルになる危険も

化粧品による肌トラブルで皮膚科にくる人の半数以上が、選び方と使い方のミスによるものだとか。最近の化粧品は、その効果の打ち出しがはっきりとしているため、「とりあえず使えばいいや」と使用書を満足に読まない人もいるようです。3滴で十分という美容液を、「多ければ多いほど効果があるはず」と、化粧水のようにジャブジャブ使ったり、「パックならなんでも保湿用だろう」と、汚れとり用を顔全体に塗ってしまったりと、勝手な思いこみが、とりかえしのつかないトラブルをまねいているのです。

とくに目的がはっきりしているパック、美容液、スクラブ洗顔剤などは、その効果が高いだけに、抜いに慎重すぎるということはありません。目先の興味だけで化粧品を買ったり、使用書をよく読みもせず使い始めるのは、まさに論外ということです。もちろん正しい使い方をしていて異常があれば、すぐに皮膚科のお医者さんにみてもらいましょう。

無添加なら全部OKという思い込みをやめる

自然派ブームがすっかり定着した化粧品業界。「無着色、無香料、ノンアルコール」製ばかりが、クローズアップされ、「もうそれだけで最高の化粧はが品絶対に安心」と思っている人が多いようですがこれはあくまでもひとつの目安。

化粧品選び自分の肌質との相性が最重要課題です。日本で発売されている化粧品の成分は、すべて厚生省の許可を得たもの。ヨーロッパやアメリカに比べても厳しい基準で、その安全性についてはかなりの信用がおけます。
香料、色素、鉱物油、アルコールのいずれも皮膚への刺激などの点では安全性が確認されたものだけが使われているのです。
香りのもつリラクゼーション効果や、アルコールのもつ清涼感など、化粧品のもつプラスアルファの効果も化粧品を楽しむ大切な要素です。牛まれつきアルコール成分に敏感だったり、香りによって気分が悪くなる、という人以外は、もっと選択の基準を広くもってもよいでしょう。

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