【 ストレスの功罪 】メリット & デメリットを徹底解説!過保護な環境が「打たれ弱い現代人」を生むメカニズムについて紹介します。免疫力についてストレスは大きく関連性があります。いつでも楽な生活を送っていれば、ちょっとしたストレスに過敏に反応してしまいます。ストレスのない社会の追求が、ストレスに弱い人間を作りだしてしまった。これが今の環境です。
ストレスの功罪 打たれ弱い子供たち

「長時間労働や夜更かしなど、重力に逆らって身体に負担をかけることを続けているとストレスがかかり発病する。だからこそできるだけ身体に負担がかからないよう楽をすることが肝心」と記しましたが、楽をしすぎるというのも問題があります。
楽のしすぎというのは、精神的に無気力になり、心身の機能の低下につながります。すると今度は、無理をしすぎたときと同様、ストレスを引き起こす要因に出会ったとき、それをはね返せずに、かえってストレスの誘引機能を高めてしまうのです。
そもそも現代社会は、楽をしようと思えば、いくらでも楽ができる環境にあります。戦後のような重労働をしなくてはならないわけでもなく、交通機関は整備されており、肉体的なストレスに関してはずいぶん軽減されてきているはずです。
家庭でも、食事の用意、洗濯、掃除は昔よりずいぶん楽にできるようになつたし、エアコンの完備、衣類の充実など、むしろ過剰なくらい満たされている。いわば過不足ない暮らしを営んでいるわけです。
こうした文明化というのは、私たちを過酷な肉体的ストレスから解放すべく作り出されてきたもので、この恩恵にあずかって、人間は便利で快適な生活ができているのです。
ところがこの恩恵に甘えすぎ、いつでも楽な生活を送っていれば、ちょっとしたストレスに過敏に反応してしまいます。ストレスのない社会の追求が、ストレスに弱い人間を作りだしてしまった。これが今の環境です。
こうした状況に特に弱いのが、生まれたときから何不自由なく育ってきた子供たちです。今の若い世代の人たちは、少々のトラブルで自律神経のバランスをくうつずし、出社拒否や不登校になり、ゆくゆくは鬱病を発症するケースが少なくありません。箱入りで育てられた子供たちは傷つきやすく、ストレスに弱い人間に育ってしまったのです。
ここで、1つ面白い比較をしてみたいと思います。昔の映画俳優と、今のアイドルの顔の形を比較してみると、昔の俳優さんたちは、若いころは顔がまん丸です。それに比べて今のアイドルたちは非常に細面の人が多い。やはりそれだけ今の若い人たちは硬いものをかむ機会がないということなのです。
それこそ昔のスルメなどは、硬くて硬くて食べるのが容易ではなかった。ところが今の食事というのは、ファストフードしかりコンビニエンスストアの食事しかり、やわらかいものばかりだとは思いませんか?
結局これも同じことなのです。かむ力がないと、骨や歯が丈夫にならない。こうしたものも圧力対応で鍛えられ、丈夫な身体が育まれていくのです。
少子化の先に見える社会の姿
また、少子化というものも、1つの大きな問題です。近年は1人っ子がとても増えていますが、1人っ子というのは、兄弟同士での争いがなく鍛えられていません。それに輪をかけて、おじいちゃん、おばあちゃんが子供を必要以上に可愛がるので、つねに守られる立場であると錯覚してしまうのです。
その結果、学校でいじめを受けたときにはね返す力が備わっていません。そうなると一気にストレス状態に入り込んでいくわけです。
不登校や子供の自殺が盛んにいわれ、学校教育が云々といいますが、これはむしろ社会全体の問題なのです。過酷な労働や人権を守るために便利になつた社会。ところがその便利さに翻弄され、精神的に弱くなっていく子供たち。
ある意味で彼らは犠牲者ともいえるのではないでしょうか。これからの日本は、しばらくの間少子化に悩むと思われます。そして数少ない子供たちはますます大事にされ、事が起こる前に大人たちが先回りをして、穏やかなレールを用意してしまいます。こうしたことが続けば、何年か先は、今よりもはるかにストレスに弱い社会が訪れることは間違いないでしょう。
長時間労働や苦痛に満ちた人間関係、さらには必要以上の夜更かしなど、重力に反発した生活は決して良い社会とはいえません。しかしながら、ストレスのまったくない社会というのも、必ずしも良い社会とは言えないのです。
まとめ
現代社会は、文明の進化により肉体的負担が軽減され、「楽」を追求できる環境になりました。
しかし、この過剰な快適さとストレスのない社会の追求こそが、精神的に無気力な状態を招き、かえってストレスに過敏に反応する「打たれ弱い人間」を生み出す要因となっています。
記事では、以下のような過保護な環境の影響を指摘しています。
- 精神的・身体的な機能低下: 常に楽な生活を送ることで心身の機能が低下し、いざストレス要因に直面した際に跳ね返す力が失われます。
- 食生活の変化: 昔に比べて柔らかい食事が増えたことで、噛む力が衰え、骨や歯が鍛えられないことと同様に、心身も鍛えられなくなります。
- 少子化の影響: 兄弟間の争いや苦労が減り、必要以上に守られる環境で育つことで、学校でのトラブルなどに対するレジリエンス(はね返す力)が備わりにくくなります。
ストレスは悪とされる一方、適度な負荷(圧力対応)は心身を丈夫に育て、免疫力とも深く関連しています。
ストレスのない環境の追求は、長期的には自律神経のバランスを崩しやすく、うつ病や不登校といった問題を引き起こす犠牲者を増やしかねないという警鐘を鳴らしています。真に健康で強い社会を作るには、適度なストレスから逃げずに、心身を鍛えることが重要です。




