緑黄色野菜を毎日とる食習慣は肉を「毒」から「薬」に変える

では、あなたの今日の食卓に「毒」と「薬」のどちらの作用がまさっているかをどのように診断すればいいのでしょうか?それには疫学調査の結果が大きな参考になります。

がんの予防に関する12カ条」のなかで、唯一、ポジティブな表現をとっているのが「適量のビタミンA・C・Eと繊維質のものを多くとる」の項目ですが、これは国立がんセンター研究所疫学部長らが17年間にわたり全国約27万人を村象に生活習慣と死亡状況を追跡した、大規模な疫学調査の結果などがその背景となっています。

その結果を分析して、緑黄色野菜を毎日食べる人にガンが少ないことを明らかにされ、ガン予防のためには野菜を1日300 g食べ、そのうち100 gを緑黄色野菜でとる、という目安量まで具体的にあげておられます。

ここでいう緑黄色野菜とは、ほうれんそう、小松菜、春菊、にら、せり、ピーマン、ブロッコリー、グリーンアスパラガス、パセリ、さやいんげん、さやえんどう、オクラ、ししとうがらし、かぼちゃ、にんじん、トマトなど、100 g 中にカロチンを600 ㎍以上含む色の濃い野菜のことです。

この疫学調査では、緑黄色野菜と肉類の摂取の関係が、非常に興味深い形で浮き彫りになりました。現在わが国では、毎日欠かさずに肉を食べる家庭がかなりの数にのぼっています。ステーキやトンカツなどのいわゆる肉料理に限らず、野菜妙めにちょっと肉を加えたり、サラダにハムを使ったりを含めて考えると、毎日肉を食べている家庭はふえる一方です。

日本人に大腸ガンがふえ続けている事実が、肉の摂取量の増加に関連しています。肉を食べると、それに伴って腸内にプロモーターの二次胆汁酸がふえるという「主空の面が強調されているわけです。

ところが、研究調査の結果には、肉食を悪者扱いすればするほど、話は簡単でないことが示されています。肉を毎日食べる人が緑黄色野菜を毎日食べない場合には、大腸ガンによる死亡率が著しく高く出ています。

たしかに、これは肉食に伴う「毒」の面が影響を及ぼした結果とみることができるかもしれません。ところが、肉を毎日食べる人でも、同時に緑黄色野菜を毎日食べていれば、肉を毎日食べない人よりもむしろ死亡率が低く出ているのです。

見方を変えて、あなたが緑黄色野菜を毎日食べる人だとしましょう。その食卓に、肉が毎日のぼらないときの大腸ガンによる死亡率は人口10万人に対して約14人ですが、肉を毎日食べるようにしたときの死亡率は4人弱にすぎません。

つまり死亡率が肉を毎日食べない場合の30%以下に抑えられているのです。緑黄色野菜と肉をともに毎日欠かさない食卓では、肉食がむしろガン予防の「薬」として強力に作用していることがこの結果からうかがえるわけです。私は長年の研究の経験から、食用きのこについても同様の大がかりな疫学調査を行えば、きのこがガン予防の「薬」として私たちの食卓に作用しているという結果が明らかになるにちがいないと考えました。

そこで、私はいまや全国一のきのこ生産県となった長野県で、エノキタケ栽培家庭について全県にまたがる大規模な疫学調査をやってみたらどうかと、長野県農協中央会に提案しました。その際、いろいろな提案をし、アイデアも出しましたが、ともかくも、県農協経済連、長野県農村工業研究所、北信総合病院が協力して、全県の疫学調査が実施されることになったのです。

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