生姜力を最大限に引き出す

手軽に手に入る「生」の生姜を利用

「生姜」といっても、実はいろいろな種類がある。世界には、500種以上もの品種があるといわれている。普段、青果店やスーパーなどでよく見かける生の国産生姜は、古くから日本で栽培されているうちに、日本の風土や気候に合うように改良されてきた品種。
産地は千葉県や高知県などが有名だ。日本では生の状態の根茎が使われることが多い。収穫時期や使われている部分によって呼び方は違う。新しくできたばかりの若い分は「新生姜」といい、みそをつけてそのままかじったり、梅酢に漬け込んだりして食べる。
爽やかな辛味が特徴。
一方、養分をしっかり蓄えてから収穫したものは「根生姜」と呼ばれる。一般にお店などでよく見かけるゴツゴツした皮つき生姜は「根生姜」。
その中でも、種生妾として植えたものを1年経ってから収穫したものは「ひね生姜」または「古生姜」と呼ぶ。茎の先端付近が赤くなる種類もある。
赤芽生姜、金時生姜、谷中生姜などがそれで、若いうちに収穫して生のまま食べたり、甘酢や梅酢に漬けて「はじかみ」を作ったりする。種類や産地などによって、価格の差はあるようだ。しかし基本的にはどの種類の生姜を食べても、健康における効能に違いはない。
ただ、新鮮なものには栄養分が多いから、購入する際は、太くてハリがあり、傷やシワが少ない新鮮な生妾を選ぶといいだろう。
反対に、表面にハリがなくてシワなどが目立ち、さわるとブヨブヨしているものは、古いものと考えていい。生姜を保存するときは、表面を乾かしてからラップ材などで包んで、冷蔵庫の野菜室へ。
10度以下の温度で保存すると約1か月は持つといわれている。すりおろした状態で冷凍保存することも可能だ。密閉式のビニール袋などに入れて平らにし、ハシの背などで縦横に線を入れておくと、使う分だけ割って使えるので便利。
千切りやスライス、みじん切りの生姜も同様に冷凍保存できる。薄切りにした生姜を甘酢や梅酢、ハチミツ、しようゆなどに漬けておく方法も手軽で長持ちする。
また、生姜妾をすりおろすときは、セラミック製のおろし器を使うとラクだ。力を入れなくても簡単におろせるし、安全だし、洗うのも簡単。

乾燥パウダーやチューブ入りの利用もOK

生の生姜をすりおろしたり、刻んだりするのは面倒という人は、生姜を乾燥させて粉末にした生姜パウダーや、チューブ入りの生姜を活用するのも手軽でおすすめ。
職場などに「置き生姜」をしておいて、飲み物などに入れたり、毎日持ち歩いて外食の際などに使ったりするのにも便利だろう。
最近の生姜ブームにあやかって、ドライフルーツのように、生の生姜スライスを砂糖漬けにして乾燥させ、おやつ代わりにそのまま食べられるようにした菓子や、お湯しょうがとを注ぐだけでおいしく飲める「生生姜」「生姜ハチミツレモン」「生姜ココア」など、さまざまな商品も出回っている。コンビニやドラッグストア、またはインターネットショップなどでも手軽に入手できるので、一度チェックしてみるのもいい。要は、できるだけ生姜を多く口にすればいいのだ。あまり堅苦しく考えず、手軽に生姜をとり入れる方法を工夫しょう。

できれば皮のまま使うとよい

生の生姜をすりおろしたり、刻んだりして使う場合は、できれば皮つきのまま使いたい。これは、生姜に含まれる精油の成分が、皮のすぐ下にあるからだ。精油の成分には、殺菌効果などの薬効があることがわかっている。また、乾燥させてしまうと、精油に含まれる多くの成分は化学変化をして、ほかの成分に変わってしまったり、なくなったりしてしまうこともある。そうはいっても、皮つきのまま使用する場合は、残留農薬の心配も無視できない。できるだけ国産の生姜、できれば無農薬栽培の生姜を使うようにしたい。そうでない場合も、皮つきで使うときは、流水でよく洗ってから使うことを心がけよう。

1日の摂取量にきまりはなし

「生姜を毎日食べなさい」というと必ず、「1 日、何グラムくらい食べればいいのでしょうか? 」という質問をされる。しかし、生姜はあくまでも食材であって、薬ではない。1日の摂聖皇がはっきりと決まっているわけではない。
刺激の強い食材なので、壷に大量に摂るのは避けたほうがいいだろう。乾燥生姜パウダーの場合は、海外の生妾研究の第一人者によると、健康の維持・増進のためには、1日1グラムが目安とをつている。
しかし、関節炎の患者が間遠って1回3~4グラム摂ったら痛みが軽減したという報告もあるし、心筋梗塞や脳梗塞ななどの血栓症予防には、毎日2グラムを摂る必要があるともいわれている。いずれも、自分の体と相談しながら、適当と思われる量をつけてほしい。
朝昼晩、1 日のうちでいつ食べるのが一番いいのかということも、特に報告されてはいない。この点についても、自分の体の声を聞きながら、体調や気になる症状が最も改善される食べ方を見つけるのが望ましい。

  • 使う生姜は、青果店やスーパーなどで手に入る、ごく普通の「根生姜」を。できれば、国産で無農薬栽培のものが望ましい
  • 太くてハリがあり、傷やシワのないものを選ぷ
  • そのまま保存するときは、ラップ材などで包んで冷蔵室へ。すりおろしたり切ったりした状態で冷凍保存もできる。
  • できれば皮つきのまま使う。ただし使用前に流水でよく洗うこと
  • 生の生姜の代わりに、乾燥パウダIやチューブ入り生姜を使ってもOK
  • 1日の摂取量や摂取時間などにルールはないが、食べすぎたり一度に大量摂取するのは避ける

金時しょうがはこちら。

生姜+紅茶+黒糖

体を温める陽食材を組み合わせて考案

あらゆる病気を防ぐ万能食品の「生姜」。これを毎日手軽に続けられて、効果的にとり入れることができるように私が考案したのが、「生姜紅茶」。熱い紅茶にすりおろした生姜を適量入れ、黒糖(黒砂糖) で甘みをつける。
「緑茶やお湯ではだめですか」とよく質問されるのだが、やはり紅茶がベスト。紅茶は緑茶を発酵させたものだが、緑茶とは体に対する影響が大きく違う。
緑色の緑茶もお湯(水)も、体を冷やす「陰性食品」。
一方、赤(黒)色の紅茶は、体を温める「陽性食品」だからだ。また、紅茶に入っている「カフェイン」は、利尿作用を発揮して「水毒」を防いでくれる。さらに、紅茶の赤い色素「テアフラビン」には、強力な抗酸化伸用があり、体内で発生した過剰な活性酸素の除去に役立つはか、風邪やインフルエンザウイルスの殺菌効果があることでも知られている。
生姜と相性がよく、生姜の冷えとり効果をさらに増進させる紅茶を組み合わせた「生姜紅茶」は、手軽で最強の「温め」健康食品といえる。その生姜紅茶に黒糖を入れると、効果はもっと高まる。白砂糖は「陰性食品」だが、黒糖は「陽性食品」。これにも体を温める作用があるのだ。しかも、ビタミンやミネラルを皇宮に含んでいて、カルシウムの含有圭は、白砂糖の150倍近くもある。

トリプルの温め効果が強力に効く

生姜+紅茶+黒糖を組み合わせた「生姜紅茶」。材料のどれもが陽性食品なのだから、体は強力に温まるのは当然だ。生姜紅茶を飲むとすぐに、体がポカポカと温かくなるのを感じるはず。代謝のいい人なら、飲みながら汗をかくかもしれない。毎日飲み続けていると、なかなか風邪をひかなくなる。
ひいたとしても、生姜紅茶を1日3~4杯飲んでいると、ひどくならずにすむ。冷え性やむくみ、便秘や下痢、こりや痛みなども、知らず知らずのうちに解消する。
1日中、体が温かく、毎日心身ともに気持ちよく過ごせることに驚くだろう。さまざまな不調から解放されるはず。

むくみが解消されやせる

体が芯から温まって体温が上がると、代謝がよくなるので、体に蓄積された脂肪もどんどん燃え出す。代謝がいいと、食べたものもすぐにエネルギーに変換されるので、脂肪がつきにくい、太りにくい体になるということでもある。全身の臓器が活発に活動し、腎臓の血流もよくなって、排尿が増えてむくみも解消する。
もちろん、胃腸の運動も活発になるので、便秘も解消する。「そんなに食べていないのに、どうしてもやせない」という人の多くは、体が冷えている。
冷えのせいで代謝が悪いので、脂肪が燃えにくく、また体内に余分な水分や老廃物をため込んだまま排出できない。それが、生妻紅茶を飲んで体を温めることで、一気に解消できるのだっ極端な食事制限やハードな運動の必要もなく、無理なくダイエットに成功する。

肌も見違えるほどキレイになる

生姜紅茶で手に入るのは、健康と理想の体型だけではない。肌もつやつやと美しくなる。アンチエイジング効果を期待して高額な化粧品を使っている人は、まずそれよりも生姜紅茶を続けてみてほしい。
お風呂上がりの肌が美しいのは、血行がよくなっているから。
生姜紅茶を飲み続けることで冷えがとれて血行がよくなると、毛細血管のすみずみまで血液が行き渡るので、新陳代謝が活発になって、肌は見違えるほどきれいになる。顔色が悪かった人やくすんでいた人は頼に赤みがさし、シミが気になっていた人は薄くなってくる。何より、顔全体がイキイキと輝いてくるはず。

生姜の効能は、冷えだけじゃない!

生姜の効能、効果ベスト18

こうして生姜の「温め効果」は一躍脚光を浴びてきたが、実は冷えをとって体を温める以外にも、たくさんの効能があることをご存知だろうか。
それらを紹介する前に、生姜に含まれている成分について説明しておこう。
生姜(gingerの成分の中で、特に注目されているのが、ビリッとした辛味の主成分であるジンゲロール(gingerol)とショウガオール(shougaol)。
生姜を加熱すると、ジンゲオールはショウガオールに変化する。ジンゲオールには血行促進作用や吐き気をおさえる作用があることがわかっている。さらに、強い殺菌力も併せ持つ。
また、ジンゲロールにもショウガオールにも、抗酸化作用(酸化をおさえる作用)があることも知られている。魚介類や肉類を使った料理に生姜を用いれば、これらに含まれる脂質が酸化するのを防ぐことができるし、体内では、活性酸素を除去することで老化防止効果も期待できる。
また、生姜の皮のすぐ下にある細い管には、精油(特有の芳香を持つ揮発性の油)が含まれている。この精油には、ジンギペロール、ジンギベレン、クルクミン、ピネン、シトラール類、ボルネオールなど、400種類以上もの芳香成分が含まれている。これらの成分の相互作用で、生妻のさまざまな薬効が生まれる。これまで世界中の研究で確立された生姜の効能を一覧表示している

  1. 体を温める…ジンゲオールなどが血行を促進するため、体を温め、冷え性を改善する作用がある
  2. 免疫力を高める…白血球の数を増やし、その働きを促進して免疫力をアップする
  3. 発汗、去痰を促す…血管を拡張して血行をよくする上に、体内のさまざまな管や腺組織を刺激して、発汗や去疾(タンをとり除く)を促す
  4. 咳を鎮める…脳の中枢に作用して、咳をとる
  5. 解熱作用…解熱・鎮痛剤として知られるアスピリンの80%程度の解熱作用があるといわれている
  6. 鎮痛・消炎(炎症を消し去る)作用…1日10~~30グラムの生姜の乾燥粉末を投与することで、リウマチや関節炎に効果があったという実験結果がある。化学薬品の消炎・鎮痛剤には、胃炎などを起こす可能性があるが、生姜は胃壁を守る作用もあるので、その点でも安心
  7. 血液凝固を抑制する…血小板の粘り気をおさえて血液凝固を防ぐ。血栓ができにくくなるので、脳梗塞や心筋梗塞、高血圧などを予防・改善する効果もある
  8. 強心作用…生姜は心筋を刺激して、心筋の収縮力を高め、血管を開いて血流をよくする。脈拍や血圧をゆるやかに下げ
  9. 抗菌・抗ウイルス・抗寄生虫作用…生姜には強い殺菌力もある。風邪ウイルスや気管支炎・肺炎などを起こす細菌類、大腸菌やサルモネラ菌・黄色ブドウ球菌などの食中毒菌、カンジダや水虫などの其菌に対して、抗菌作用が働く。回虫やフィラリアのほか、魚に寄生しているアニサキスなどの寄生虫も駆逐する。だから、寿司に添えられるガリ(生姜の甘酢漬け)は一緒に食べたほうがいい
  10. めまいや耳鳴りを防ぐ…生姜は内耳の血行をよくして、めまいや耳鳴りを防ぐ働きがある
  11. 血中コレステロールを下げる…生姜に含まれるジンゲロールが、胆汁の排泄を促進するため、血液中のコレステロールが低下する
  12. 生殖機能の改善…血行不良を改善する作用がある生姜は、子宮、卵巣への血行をよくして、その働きを促し、月経を軽く、正常にする効果もある。不妊症にも効果を発揮する。男性の精子の連動率を高めるともいわれている
  13. 酸化の防止…体内で活性酸素を除去する働きも期待できるため、がんやアレルギー、免疫疾患などのほか、老化の予防や改善にも役立つ
  14. うつ病を防ぐ…うつ病の治療に使われる半夏厚朴湯の成分にもなっている
    半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  15. 解毒を促して、体内を浄化する…血液の循環をよくすると同時に、発汗や排尿、排便を促す作用がある。体内の毒素を排出し、浄化する

がんに対する効能も

病気は「気・血・水」の滞り、つまり体の冷えから起こるが、生姜はその解消に大いに役立つことがわかった。生姜には体を温める作用があり、さらに、血液の循環をよくして体内の細胞を元気にし、毒素を排泄して血液をはじめ体内をきれいにしてくれる。

さらに最近では、がんに対する効能も注目を集めている。2003年10月、アメリカで開催された「米国がん研究学会」で、ミネソタ大学のアン・ボード、ジガン・ドン両研究者らが行った興味深い実験結果が発表された。
人間のがん細胞を植えつけたマウスを、生姜の辛味成分である「ジンゲロン」を与えた群と与えなかった群に分けて追跡調査したところ、「ジンゲロン」を与えたマウス群のほうが、できた腫瘍の数が少なかったというのである。
生姜の成分が免疫力を強化し、抗酸化作用を発揮して、がん細胞の増殖を食い止めたと考えられる。まさに生姜は「百邪を防ぎ、百邪を治す」食材なのだ。

生姜の冷え取り力の実力はやっぱりホンモノ。