生活習慣に加えて過度なダイエットも冷え症の原因
寒い季節に限らず、手足や腰の冷え・しびれなど、冷え症に悩む女性が最近ふえているようです。これはミニスカートやハイヒールなど体を冷やしたり、血流を悪くしやすい生活習慣に加え、意外なようですが、食生活にも原因があります。
ダイエットを意識するあまり食事の量が減ると、噛むことによる脳への刺激が少なくなるため、食欲や体温を調節する視床下部からのホルモン分泌のバランスが崩れてしまうのです。
ところが、現代医学では冷え症を改善する特効薬がありません。そこで私たちが興味をもったのは、古くから食生活にとり入れられてきたスパイスの効用でした。漢方には冷えを治す処方が多くあります。そうした処方に多く含まれているのが、こしょうなど、スパイスとして用いられる植物系の生薬だったのです。
私たちが注目したヒハツという物は、こしょうの仲間です。沖縄では島こしょうと呼ばれて豚肉のくさみ消しや、そばの風味づけなどに用いられるポピュラーな香草科です。
東南アジア原産、独特の甘い香りが特徴で、インドなどでは健胃や冷え改善の目的で薬用ともされてきたようです。また、ヒハツには動物実験で血管拡張作用を示したデータがあったことからも、冷え症を改善する効果が期待できたのです。
血管拡張因子の合成を活発化血管を拡張し血流を改善する
20代から50代の冷え症に悩む女性20人を対象に行いました。ヒハツのエキスをまぜたお茶を飲んでから15度の冷水に1分間手を浸してもらい、皮膚の温度の変化を調べてみたのです。すると、飲まなかったときにくらべ、ヒハツエキス入りのお茶を飲んだときのほうが温度の回復が早い傾向があり、飲んだ人の75 に手先の温度回復効果を実感する効果がありました。
では、なぜヒハツが冷えを改善したのでしょうか? 体内の一酸化窒素(NO)には血管を拡張させる作用がありますが、研究の結果、ヒハツに含まれるピペリンという成分には、この一酸化窒素を合成する酵素を活性化させる働きがあることがわかってきました。
ピペリンの働きによって血管が拡張し、血流量がふえたことで皮膚の温度が上昇したと考えられます。ピペリンはその名のとおりペッパー(こしょ、ユの仲間に含まれる辛味成分)です。
ですので、ヒハツに限らず、いわゆる黒こしょうや自こしょうなどのこしょうを同様に摂取しても冷え症の改善は期待できると考えられます。ちなみにこのときに用いたヒハツのエキス粉末の量は150mg。スパイスのかたちで出回っている島こしょうなら、「辛味」を少し感じる量です。冷えに悩んでおられるかたは意識的に1日1回、辛味を楽しみながら食生活にとり入れるようにすると、よい効果が期待できるのではないでしょうか。
島こしょうはこちら。