血液のフリーラジカル消去活性を高めるブナシメジ

このESR法で確認できたことを、かいつまんでいえば、実験的に発生させたスーパーオキシドやヒドロキシルラジカルにきのこの抽出液を加えると消去作用を発揮するということでした。

その主な活性成分が高分子のタンパク質である可能性も明らかになったわけですが、ESR法でわかったのはここまでで、きのこを実際に食べたときにその成分が私たちの体内に吸収され、細胞の内外でフリーラジカル消去作用をたしかに発揮してくれることが証明されたわけではありません。

そこで、私は静岡県立大学薬学部の佐野満昭先生と共同で、この点を確かめるべく次の段階の実験を試みました。
用いたのはブナシメジ(商品名「やまびこほんしめじ」) です。ブナシメジを乾燥粉末にしたものを10%含むエサをマウスに与えて26日間飼育したあと、マウスから血祭(血液から血球成分を除いた残りの液体) を採取します。

ブナシメジを含まないエサで飼育したマウスからも血祭を採取して、2つの血祭の間に、アルコキシルラジカルおよびペルオキシルラジカルの消去作用の点で差がみられるかどうかを測定したのです。

細胞膜や細胞の内外でフリーラジカル消去作用を発揮するビタミンC、E、β-カロテンなどの抗酸化物質は、血液によって細胞に供給されるのですから、血渠中にはこれらが成分として溶けこんでおり、一定のフリーラジカル消去活性をもともと持っています。

海外で行われたいくつかの疫学調査をみると、血中ビタミンE濃度や血中β-カロテン濃度の低い人に肺ガンなどが高率で発生しており、これらは血祭のフリーラジカル消去活性が発ガンを左右する証拠とみることができます。

その血漿のフリーラジカル消去活性がブナシメジを食べることによって高まるかどうかをマウスを使って調べたわけです。その結果、ブナシメジを食べなかったマウスの血祭は、実験的に発生させたアルコキシルラジカルの46%を消去していることがわかりました。

これに対して、ブナシメジを食べたマウスでは消去率が59%にのぼり、血漿の消去活性が有意に高まっていたのです。

この実験で意を強くした私たちは、今度は先ほどの半分、つまり5%のブナシメジを含むエサをマウスに35日間与え、血漿に含まれる過酸化脂質の変動を観察しました。

「血中過酸化脂質」は人間ドックなどの検査項目のなかにもとり入れられていますので、聞きおぼえがあるかもしれません。血中過酸化脂質は、血液中を流れるコレステロールや中性脂肪などの血中脂質をフリーラジカルが酸化したときなどに発生します。動脈硬化では、こうして生じた過酸化脂質が血管壁に沈着しますので、人間ドックではこの借が動脈硬化のパラメーターとして用いられているのです。

実験ではそれを、フリーラジカルによる血中脂質の酸化が、ブナシメジを食べることで抑制されたか、つまりフリーラジカルの消去活性が高まったかどうかのパラメーターとしてみたわけです。

結果は、ブナシメジを食べたマウスの血漿は、食べなかったマウスにくらべ血渠過酸化脂質が約23%も低下していました。これらの結果から、ブナシメジを毎日食べる習慣は、おだやかな効果ではあるが、血漿のフリーラジカル消去活性を高めに誘導し、過酸化脂質を減らす効果があることが証明されたのです。

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